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巨人・小林誠司は阪神・坂本誠志郎に重なる? 球団OBから「正捕手での起用」望む声が

 

背水の陣を迎えた背番号22


10年目の今季は21試合の出場に終わった小林


 2年連続Bクラスに終わった巨人は来季に向け、戦力のテコ入れを行っている。

 松田宣浩は現役引退を決断し、中島宏之は戦力構想から外れて退団。中日に移籍した。中田翔も出場機会を求めて自由契約で退団し、中日に入団することが決まった。そして、課題の投手陣補強に向け、積極的な補強に動いた。アダム・ウォーカーとのトレードでソフトバンクから高橋礼泉圭輔を獲得。金銭トレードによって快速球が武器のオリックス近藤大亮が加入し、現役ドラフトでは阪神馬場皐輔を手に入れた。さらに、ドラフトでは1位右腕の西舘勇陽(中大)を筆頭に支配下の本指名で大学、社会人の即戦力を獲得。いずれも1年目から一軍の戦力になりえる選手たちで期待が高まる。

 個々の選手でチーム内の置かれた立場は違う。背水の陣を迎えているのが、小林誠司だ。今季は21試合出場で打率.125、0本塁打。不動のレギュラーである大城卓三だけでなく、46試合出場した岸田行倫よりも出番が少なかった。強肩が武器の山瀬慎之助も台頭してきている。「第3の捕手」。小林はいつからかそう呼ばれるようになった。

 2016年から正捕手の座をつかみ、17年WBCでは侍ジャパンの正捕手を務めたが、打撃に不安があることがネックとなり19年以降は出場機会が減少。強打が持ち味の大城にポジションを奪われる形となった。ただ、小林にチャンスがないわけではない。セパ共に「投高打低」が顕著となる中で、リード能力、キャッチング技術が高い「守備型捕手」が評価されるようになっているからだ。象徴的な例が阪神の38年ぶり日本一に大きく貢献した坂本誠志郎だ。シーズン前は梅野隆太郎が正捕手として有力視されていたが、村上頌樹大竹耕太郎が先発登板する日はマスクをかぶり、好リードで高い勝率だったことから評価を高めていく。梅野が8月に左尺骨骨折で戦線離脱後は先発マスクをかぶり続け、頂点に導いた。

阿部監督がどう判断するか?


 球団OBで野球評論家の堀内恒夫氏は、10月に週刊ベースボールのコラムで来季のチーム構想について持論を語っている。

「俺が以前から、この連載でも再三指摘してきたように、来季はチームの顔である岡本和真をサードで起用してもらいたいと思う。岡本はいまの球界で1、2位を争うサードであることは言うまでもない。そして、『正捕手に誰を指名するか?』。トレードで放出しなければ、強肩で守備の良い小林を再び正捕手に抜擢すればいいのではないかな。来季は今季とは比べ物にならないくらいバッテリーを中心とした守りが固まることは間違いないだろう。すべては捕手出身の阿部慎之助新監督がどう判断するか。その決断力次第になるけれど、俺が巨人の監督なら打撃力のある大城をファーストで使ってみたいね。それがダメなら、坂本勇人をファーストへ配置する」

投手の持ち味を引き出す能力


 近年ベンチを温める機会が多い小林が正捕手に返り咲けるか。巨人を取材するスポーツ紙記者は「小林にしかできない役割がある」と力説する。

「経験豊富で投手の持ち味を引き出す能力に長けている小林は、一軍で実績がない投手やルーキーの登板日にバッテリーを組ませたら面白いのでは。阪神の坂本に近いイメージですね。大城がスタメンで出続けるよりも、配球が変わるので相手の目先を変えられる。阿部監督は来季の捕手の起用法をいろいろ模索していると思います」(スポーツ紙記者)

 複数の捕手を起用するのが球界全体のトレンドになっている中、大城、小林、岸田、山瀬とそれぞれの捕手の個性をどのように生かしていくか。小林にも意地があるだろう。もう一花咲かせられるか。

写真=BBM
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