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則本昂大を守護神に配置転換の楽天 次期エースと期待の「山本由伸2世」は

 

高卒3年目で好成績


来季は救援から先発に配置転換される内


 楽天今江敏晃新監督が大きな決断を下した。2年連続セーブ王に輝いた松井裕樹が海外FA権を行使してメジャー移籍を目指すため、先発で長年活躍していた則本昂大を新守護神に抜擢することを決めた。今季はチーム最年長の38歳右腕・岸孝之がチーム最多の9勝と先発陣の層が決して厚いわけではない。1人でも多くの若手が一本立ちして欲しい中、新たな先発の柱として期待されるのが、救援から配置転換される内星龍だ。

 高卒3年目の今季は53試合登板で4勝2敗7ホールド、防御率2.28の好成績をマーク。開幕一軍入りを果たすと、デビュー登板は鮮烈だった。4月9日のロッテ戦(楽天モバイル)で3回を無安打無失点4奪三振の快投。同月23日の日本ハム戦(楽天モバイル)では同点の延長11回に登板し、1回を無失点に抑えてプロ初勝利を飾った。メンタルが強く、馬力もある。シーズンを完走して複数失点は5試合のみ。42試合が無失点と抜群の安定感だった。

「来季の先発転向を直訴して叶っただけにモチベーションは高いでしょう。他球団は20代の投手たちが先発ローテーションの核になっているが、楽天は岸、則本のベテラン頼みになっている。若手が台頭しなければV奪回は望めません。内は力ねじ伏せられるスケールの大きい投手。荘司康誠と共に次期エースとして期待されます」(スポーツ紙記者)

変化球の精度が上がって


 その投球フォームは、オリックスの絶対的エースだった山本由伸と重なる。身長190センチの長身から投げ下ろす150キロ前後の直球と140キロに迫る高速スプリットのコンビネーションで、打者のバットが空を切る。石井一久前監督から助言を受けたスライダーも投球のアクセントになった。昨季はイースタン・リーグで15試合登板して防御率8.49だったが、変化球の精度が上がったことで安定感が一気に高まった。

 内は投手経験が浅い。中学時は硬式野球のクラブチーム・北大阪ボーイズに所属して野手としてプレーし、履正社高に進学して1年秋に本格的に投手転向した。2年は右肩の不調で苦しい時期だったが、このときに投球フォームを見直したことが野球人生の大きな転機になった。長身右腕で似た体格のダルビッシュ有(パドレス)、大谷翔平(ドジャース)を意識した投球フォームを試していたが、山本の投球映像を動画で見て真似して投げたところ、当時130キロだった直球の球速が15キロ近くはね上がった。3年夏は新型コロナウイルスの影響で夏の甲子園が中止となったが、8月に開催された「プロ志望高校生合同練習会」でシート打撃に登板して打者5人を無安打1四球と力強い投球を披露。視察したプロのスカウトの評価を高め、楽天にドラフト6位で入団した。

同学年の出世頭にも見劣りしない投球


 高卒で同期入団の右腕たちは次々ブレークしているだけに、大きな刺激になるだろう。高橋宏斗(中日)は最速158キロの直球、落差の鋭いスプリットを武器に高卒2年目から先発ローテーションに定着。今年3月には侍ジャパンの一員でWBC制覇に貢献した。今季開幕投手で一軍デビューを飾った山下舜平大も16試合先発登板で、9勝3敗、防御率1.61と大ブレーク。平均球速154キロの直球に縦に鋭く落ちる軌道のカーブ、新たに習得したフォークを織り交ぜて95イニングで101三振を奪った。リーグ3連覇に貢献し、新人王を獲得。来年は左腕エース・宮城大弥と共に先発の大黒柱としての活躍が求められる。

 高橋宏、山下はドラフト1位で入団しており、高校時代から名を轟かせていた好投手だった。内はアマチュア時代に脚光を浴びる道を歩んできた野球人生ではない。だが、投手としての大きな可能性は決して2人に見劣りしない。来季は先発で大輪の花を咲かせられるか。

写真=BBM
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