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【社会人野球】初のベストナイン三塁手のトヨタ自動車・北村祥治 着々と進む「ミスター社会人」の道

 

「若い選手に負けていられない」


トヨタ自動車・北村は2023年の社会人ベストナイン[三塁手]を受賞した[写真=田中慎一郎]


 2023年度社会人野球年間表彰が12月12日、東京都内のホテルで行われた。トヨタ自動車の主将・北村祥治(亜大)は入社8年目で初のベストナイン(三塁手)を受賞した。

「なかなか個人賞には縁がなかったので、1回は取りたいと思っていました。こうした素晴らしい賞をいただけて光栄です」

 2016年の入社以来、都市対抗は今夏を含めて2度の優勝、社会人日本選手権も2度の優勝を経験。また、侍ジャパン社会人代表の常連メンバーであり、常に社会人野球のトップを走り続けてきた。今年10月のアジア競技大会(中国・杭州)では、日の丸を背負う主将としてチームをけん引し、銅メダルを獲得した。

 表彰後、壇上で挨拶した北村の言葉は、社会人野球界のリーダーそのものだった。

「来年1月で30歳になります。チームのことはもちろん、社会人野球全体のことも考え、自覚と責任をもって精進していきたい」

 表彰後、その真意について聞いた。

「子どもたちの野球離れが顕著です。会社としても活動していますが普及、振興の面で社会人野球界が遅れを取らないように、一人でも多くの人に野球の魅力を発信していきたい。私も次の世代にバトンをつないでいかないといけない年齢、立場であると思っています」

 現役選手としてもまだ、やることはある。侍ジャパン社会人代表は12月のアジア野球選手権(台湾・台北)で2大会ぶり20度目の優勝を遂げた。若手中心の選手で編成された今大会、北村の代表メンバー招集はなかった。

「若い選手に負けていられません。来年以降も代表に呼んでいただけるよう、大会でしっかり実績を残して、存在感を示していきたい」

 2026年のアジア競技大会は、トヨタ自動車の地元・愛知開催と、モチベーションは高まるばかりだ。表彰式の壇上あいさつでは「アジア競技大会での金メダルは、社会人野球界として目指すべきところ」と、あらためて訴えた。

「試合会場は東海地区のメーン会場である岡崎と聞いています。地の利を生かし、東海地区の選手が躍動する機会にしたいと思いますし、私も必ず、その場にいたい。18年のジャカルタ大会は銀、今年は銅メダルでしたので、何とか日本開催で金メダルを獲得し、代表としての有終の美を飾りたいと思っています」

 競技力向上と、競技発展のために力を惜しまない。北村は名実ともに「ミスター社会人」への道を、着々と突き進んでいる。

文=岡本朋祐
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