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阪神から巨人に移籍のドラ1右腕 「V奪回のキーマン」期待の声が

 

野球ファンから大反響


阪神で今季は19試合に登板して防御率2.45だった馬場


 12月8日に開催された現役ドラフトで野球ファンから大きな反響を呼んだのが、阪神・馬場皐輔巨人への移籍だった。阪神から宿敵の巨人に移籍するケースは非常に珍しく、直近では2004年の野村克則(現阪神二軍バッテリーコーチ)の19年前にさかのぼる。

 馬場にとっては大きなチャンスになるだろう。今季は19試合登板で2勝1敗3ホールド、防御率2.45。決して悪い数字ではない。救援陣の層が厚いため一軍で稼働した期間は2カ月半だったが、他球団であればもっと登板機会が多くても不思議ではなかった。

 18年に仙台大からドラフト1位で入団。エースナンバー「18」を身にまとい、先発で結果を出せなかったが、救援に配置転換された3年目の20年に野球人生の転機を迎える。32試合登板で2勝1敗9ホールド、防御率2.08をマーク。シーズン終盤は「勝利の方程式」の一角を担った。

 馬場は当時の週刊ベースボールのインタビューで、「僕の中では『心』の部分が大事だと思っています。どうしても打たれたくないので体に力が入ってしまいますし、力むと投球フォームに連動性がなくなります。力めば力むほど周りが見えなくなってくると思いますし、そうなると思考力も落ちるというか……心まで力むと相手打者の弱点がどこにあるか、などということを冷静に考えられなくなると思います。僕はまだ一軍の中継ぎとして少ししか経験していませんので、そこは勉強中です。だからこそ『心』を大事にして、冷静に投げていこうと思います」と語っている。

 そして、自身の投球スタイルにも言及。「一軍で投げるたびに、本当に強い真っすぐがあってこその変化球なんだ、ということを実感しています。僕の中で、馬場皐輔という投手は変化球を投げる割合が多い投手だと思っています。その変化球を生かすには、打者に真っすぐをいかにして意識させるか、というピッチングをやらないと、僕の投球の持ち味が生きてこないと思っています。ただ僕の中では基本的に『真っすぐ』で押していく、行きたい気持ちは強いです」と熱弁している。

輝きを取り戻す可能性は十分


 コンパクトな腕の振りから制球力を武器に、140キロ近い球速のスライダー、スプリットを多用する。カーブを含めて変化球の割合は7割近い。だが技巧派という枠ではくくれない。直球も力強いからだ。21年は自己最多の44試合登板で3勝0敗10ホールド、防御率3.80をマーク。ここ2年間は登板数が大幅に減少しているが、力が衰えたわけではない。環境を変えれば、輝きを取り戻す可能性は十分にある。

 リーグ優勝を飾った阪神に15.5ゲームの大差をつけられ、4位で3年連続V逸となった巨人は救援陣が最大の強化ポイントになっている。今年の救援防御率はリーグワーストの3.83。守護神の大勢が「右上肢のコンディション不良」で夏場に2カ月間離脱するなど27試合登板で3勝14セーブ1ホールド、防御率4.50と悔しいシーズンに。7、8回を担う投手たちも不安定で固定できなかった。

救援陣の補強を進める巨人


 今オフは救援陣の強化に重点を置いている。オリックスの快速球右腕・近藤大亮を金銭トレードで獲得し、アダム・ウォーカーを放出してソフトバンクから高橋礼泉圭輔を獲得した。現役ドラフトで馬場が阪神から移籍したことで、さらに厚みが増す。

「馬場は阪神で6年間プレーしているので、セ・リーグの他球団で対戦する選手たちの特徴は熟知している。巨人は救援陣の層が薄いので、来季は勝ちパターンの役割で抜擢することも考えられるでしょう。阪神戦は特別な思いを抱くかもしれないが、古巣相手に抑えれば乗っていける。V奪回のキーマンになると言っても大げさではない」(スポーツ紙記者)

 今年の阪神は現役ドラフトでソフトバンクから移籍した大竹耕太郎が12勝2敗、防御率2.26の大活躍でチームのリーグ優勝、日本一に大きく貢献した。馬場は巨人の救世主になれるか。

写真=BBM
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