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【大学野球】ポール間走30本を軽快に走破 V奪還に向けて最高の23年の締めくくりとなった明大

 

「この2カ月の成果が出た」


明大の主将・宗山[手前]はポール間走30本を走り終えた部員を、ハイタッチで出迎えた[写真=BBM]


 午前6時3分。ライトポールとレフトポール、2つに分かれてのポール間走が始まった。12月21日。年末の練習納め恒例、明大の伝統メニューである。4人一組。真っ暗闇だった日の出前に1本目がスタートしてから約1時間、計30本(往復15周)を軽快に走破した。

 ランニングの先陣を斬った主将・宗山塁(4年・広陵高)は「全部員で同じメニューをやることに意味がある。そこは一つ、皆で乗り越えられたと思います。大きな事故もなく、今年最後の練習を終えられて良かったです」と、充実した表情を見せた。

「毎年、ついていけない学生が出るんですが、今年は全員が30本を走り切った。皆、最後まで、楽しそうに走っている。苦しい顔も見せず、つまらないですよ(苦笑)」。田中武宏監督は冗談交じり話したが「この2カ月の成果が出た」と、最高の褒め言葉を付け加えている。

 新体制となった11月5日以降、早速、チーム全体で体力測定をした。そこで浮き彫りとなったのが、根本的な体力不足だった。

 明大は村松開人(中日)が主将を務めた2022年、東京六大学リーグ戦で春秋連覇を遂げ、11月の明治神宮大会を制した。上田希由翔(ロッテ)が主将だった今年は、春に85年ぶりの3連覇を達成したものの、秋は2位に終わった。田中監督は明かす。

「村松の代には体の強さがあった。春から秋へとさらに上げていき、神宮大会までスタミナを維持できた。上田の代は春がピークで、秋は勢いがなくなった。体力がチーム成績に出たんです。宗山の新チームも測定結果を見ると、パワー不足。結成時に4冠(春・秋リーグ戦、全日本大学選手権、明治神宮大会優勝)という目標を立てましたが、遠く及ばない。このままでは、春も勝てないです」

2023年の練習納めは朝5時30分にアップ開始。6時過ぎからポール間走30本が始まった[写真=BBM]


 危機感を植え付け、この2カ月は強化期間とした。投手はトレーニングを軸、野手はトレーニングと並行しながら、福王昭仁コーチの指導の下、スイング改良に着手してきた。

「(特に下級生は、高校時代からの)金属バットの弊害が出ている。フライボール革命なのか? スイングの軌道がアッパー。低めの変化球にはついていけるが、高めは全く反応できていない。レベルで振ることが必要です」(田中監督)

 野手陣はトレーニング、ウエート、スイング、ロングティーで、1年間、戦えるフォームをじっくり固めている。投手陣も同様で、心身ともタフな体を追い求めてきた。1月末までは同様のメニューをこなし足場を固め、2月からは技術練習に入るという。そして、シーズン中も調整はなく、強化を継続していく。

 V奪還に向けて、最高の23年の締めくくりとなった。年明けは1月6日に始動。午前8時から伝統のポール間走30本で24年シーズンをスタートさせる。

文=岡本朋祐
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