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巨人で今季一軍出場なしも…他球団が「第2の鈴木誠也」と評する若手成長株は

 

成長を果たした門脇、秋広


今季は一軍出場がなく、二軍で76試合の出場に終わった増田陸


 今季3年連続V逸と悔しさを味わった巨人だが、明るい材料は門脇誠秋広優人の台頭だ。

 ドラフト4位で入団した門脇は球際の強さと強肩で高い守備能力を発揮。7月下旬まで打率1割台だったが守備での貢献度が高いため、原辰徳前監督は我慢強くスタメンで起用し続けた。8月以降は安打を量産するようになり、打率が一気に上昇。9月に入ると不動の遊撃として長年守り続けた坂本勇人が三塁に回り、門脇が遊撃の定位置をつかんだ。126試合出場で打率.263、3本塁打、21打点、11盗塁。野球に取り組む姿勢も首脳陣やナインに一目置かれており、来季は中心選手の1人として期待される。

 高卒3年目の秋広も大きく飛躍した年になった。開幕はファームスタートだったが、4月中旬に一軍昇格すると、力強いスイングで長打を打つだけでなく、ミート能力の高さを発揮してスタメンに定着した。2ストライクに追い込まれても逆方向に安打を飛ばす高度な技術で打率3割をキープ。門脇と対照的に夏場以降は調子が下降線をたどり、規定打席にわずか4打席足りなかった。それでも、121試合出場で打率.273、10本塁打、41打点は十分に合格点をつけられる。

昨年は5本塁打を放つも……


 門脇、秋広と対照的に、不完全燃焼に終わった若手成長株がいる。増田陸だ。昨オフは育成契約からはい上がり、5月5日にプロ入り初の一軍昇格を果たすと代打で結果を残し、中田翔中島宏之を押しのけて、一塁でスタメン起用されるように。剛速球を力強く打ち返すパワフルな打撃が魅力だ。印象的な一打がある。6月3日のロッテ戦(東京ドーム)だ。2回無死三塁の好機に、佐々木朗希の161キロ直球を右中間に運ぶ先制の適時二塁打。バットを指3本分短く持ち見事にはじき返した。

 69試合出場で打率.250、5本塁打、16打点をマーク。他球団のスコアラーは、「この選手は活躍するなと思いましたよ。直球に強いだけでなく、変化球も対応できる。穴がない選手なので打席に立つ数が増えれば、自然と数字が上がってくると思います。タイプとしては鈴木誠也(カブス)に近い。打率3割、20本塁打をコンスタントに打てる素材だと思います」と高く評価していた。

 一軍のレギュラー定着を目指した今年だったが、大きな試練が待ち受けていた。春先から打撃の状態が上がらず開幕をファームで迎えた。イースタン・リーグでも試行錯誤を繰り返し、アピールできない。7月上旬の試合で、守備で走者と接触して負傷交代。病院で左肘内側側副靭帯損傷、浅指屈筋損傷と診断されて戦線離脱した。一軍出場なしに終わり、秋広や門脇に差をつけられる形となった。

巨人で珍しいプレースタイル


 喜怒哀楽を前面に出すプレースタイルは巨人の中で珍しい。昨季は負傷交代し、ベンチで涙を流す場面が。殊勲打を打った際にお立ち台で、「若いのでもっとガツガツいってチームの勝利に貢献できるようにもっと頑張りたい」と目を輝かせていた。

 ファームで過ごした1年間だったが、大きな出会いもあった。今年限りで現役引退した松田宣浩とプレーしたことだ。40歳のベテランはファームの試合で誰よりも声を張り上げ、高いモチベーションで試合に臨んでいた。松田は「プロ野球なので、ただ元気を出しても使ってもらえるわけじゃない。選手として数字、結果を残して、プラス声を出す。最初のほうはエネルギーがいるというか、きつかった部分も当然あります。結果が出てないのに元気なだけ、なんて言われたくなかったですし。それを同じ方向に進めていけたのが良かった。結果も出さないといけないという責任感の中で野球ができましたから」と週刊ベースボールのインタビューで語っていた。

 もう一度、一軍の舞台で輝きを。増田陸も松田のような「チームの太陽」になってほしい。

写真=BBM
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