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「必要で信頼される人となる、ぜ!!」 母校の激励会で見えたオリックス・宗佑磨が愛される理由

 

元ボクシング世界王者も祝福


オリックス・宗は母校・横浜隼人高OB主催の祝賀会でエネルギーをもらった[写真=BBM]


 オリックス・宗佑磨の「3年連続ベストナイン・ゴールデングラブ賞受賞 祝賀会・激励会」(横浜隼人高硬式野球部OB会主催)が12月23日、横浜市内のホテルで行われ、約350人が出席した。

 プロ9年目の今季、パ・リーグ3連覇に貢献。阪神との日本シリーズでは惜しくも3勝4敗で、2年連続の日本一を逃したものの、2021年から3年連続でのベストナインとゴールデングラブ賞のダブル受賞となった。宗は言う。

「応援されているんだな、とあらためて感じる1日となりました。こうした会を開催していただき、硬式野球部OB会、硬式野球部監督、部長、副部長、学校のほか、関係者の方々には感謝の言葉しかありません」

 堅守かつ、華麗な三塁守備。同校野球部を長く応援する、日本人3人目の3階級制覇を達成した元ボクシング世界チャンピオン・八重樫東氏はトップアスリートの視点で祝福した。

「私は、野球は専門外ですが、宗選手が高く評価されている『ディフェンス力』というのは、ボクシングに置き換えると、熟練した能力がないとできません。たくさんの努力を積み重ねてこられたのだと思います。ボクシング界は野球界とともに、スポーツで日本を元気にし、エネルギーを与えていきたいです」

 宗は約3時間のパーティー中、一つひとつのテーブルを回り、出席者と懇談。1年間の報告、来年の抱負を語るなどして触れ合った。

 この日は、西武青山美夏人、オリックス・佐藤一磨、今季までDeNAに在籍した加藤大(来季は独立リーグ・神奈川フューチャーズドリームス)と、同校出身のNPB選手も所属ユニフォームを着用し、支援者たちと交流した。

 亜大出身の新人・青山は今季、主に救援で39試合に登板。宗との直接対決があった。初対戦では宗が左前打を放ち、先輩に軍配が上がった。トークショーでの一コマである。

「カーブを得意としているんですが、初球のカーブは見逃しました。相手のデータにも当然、入っているはず。2球目のカーブはないだろう、と思ったら、まさかの2球目もカーブ(苦笑)。なめられているのかと……。これを打たないと恥ずかしいと思い、必死に食らいついて安打。青山、なめていた?(笑)」

 すぐ横にいた青山は「なめてはいないです……(汗)」と恐縮しきり。後輩は「もう、神様のような偉大です」と最大限のリスペクトを示した。宗は続けた。

「その打席以降は、きっちり抑えられました。そこは気の緩みかも……(苦笑)。青山はどの球種でもカウントが取れる。開幕一軍でしたし、球団の期待を感じました。チームを引っ張る存在になると思う」。あらためて後輩を称えた。

後輩たちも大きな刺激


祝賀会にはオリックス・宗のほかにも、横浜隼人高出身のプロ野球選手が登壇した。左から元DeNA・加藤、オリックス・佐藤、宗、西武・青山[写真=BBM]


 宗、青山の一軍での活躍に後輩の佐藤、加藤も大きな刺激を受けた。

 高卒4年目左腕・佐藤はウエスタン・リーグで最多勝(8勝)を挙げたが、目標としていた支配下登録、一軍昇格はならなかった。

「3年連続優勝は、いずれもテレビで見届けました。来年こそは、あの輪に入っていたい」

 来季で高卒4年目を迎える右腕・加藤は24年シーズンにかけている。

「大学に進学していれば、4年生。まだ、これからチャンスはあると思っている。24年はNPBからBCリーグに戦いの舞台を移しますが、自分のやることは変わらない。上を目指していくだけ。NPBに戻れるようにしたい」

この日の祝賀会のために、横浜隼人高の運営母体である学校法人大谷学園は垂れ幕を制作した。今後は学内に掲示される予定だという[写真=BBM]


 宗も決意を新たにした。

「3連覇はしましたが、去年しか日本一ができていない。そこは、悔しい部分が残る。チーム的には良い年になりましたが、(自分の)成績はひどかったので、もう、忘れました(苦笑)。来年、頑張っていきたい。エラーを恐れず、思い切ってプレーしていくだけです。在籍年数では来年10年目ですが、まだ27歳。まだまだ若手なので、張り切って、頑張っていく。目の前の課題を一つひとつクリアして、打率3割は絶対に打ちます。これは、何年も言い続けている。思いは強いです。守りはミスを恐れずに攻めていく。ゴールデングラブ賞は獲れる限り、連続で獲っていきたいです」

 そして、祝賀会の最後のあいさつで、宗は千両役者ぶりを見せた。

「必要で信頼される人となる、ぜ!!」

 横浜隼人高の校訓は「必要で信頼される人となる」。その場の空気を読んだ発信に、パーティー会場はこの日、一番の盛り上がりだった。宗がファンに愛される理由がよく分かった。

文=岡本朋祐
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