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ドラフト9位入団の巧打者が来オフにFA争奪戦か 「打撃センスは天才的」

 

レギュラー定着後、最低の成績


今季は思ったような成績を挙げられなかったが、打撃センスは光る佐野


 戦前は優勝候補に挙げられながら、リーグ優勝を飾った阪神に12ゲームの大差をつけられたDeNA。誰よりも悔しい思いをしたのが、今季まで主将を務めた佐野恵太だろう。

 チームは3、4月に16勝7敗と会心のスタートを切ったが、一番で起用された佐野は打率2割5分台と波に乗り切れない。5月以降も好調をなかなか持続できない。7月は月間打率.224、0本塁打、4打点。例年は調子が上がる夏場に苦しんだ。8月6日の阪神戦(横浜)では1点差を追いかける7回一死二、三塁の好機で打席が回ってきたが、代打・楠本泰史を送られて球場がどよめいた。

 シーズン終盤にさらなる試練が。9月30日のヤクルト戦(神宮)で右手首に違和感を覚えて途中交代。病院で診察を受けた結果、右有鉤骨骨折で戦線離脱することになり、CS出場はかなわなかった。141試合出場で打率.264、13本塁打、65打点。レギュラーに定着した20年以降で打撃3部門はいずれもワーストの成績に終わった。

 クリーンアップを務めてきただけに、一番打者の難しさはあっただろう。打順別でみると一番は66試合出場で打率.245、10本塁打、35打点。一方で三番のときは60試合出場で打率.304、3本塁打、29打点をマークしている。出塁率が高いことを評価され、チャンスメーク役を担ったが、打線の中で機能したとは言い難い。520得点はリーグ4位。四番・牧秀悟が打率.293、29本塁打、103打点で打点王、最多安打(164本)のタイトルを獲得し、宮崎敏郎も打率.326、20本塁打、71打点で自身2度目の首位打者に輝くなどポイントゲッターは機能したが、打線として最後までかみ合わなかった。

一番は適任ではない!?


 球団OBの高木豊氏は、週刊ベースボールのコラムで以下のように指摘している。

「一番の佐野恵太ですが、相手投手からするといきなり佐野というのは確かに嫌でしょう。一発長打がありますから慎重にならざるを得ない。ただ逆に言えば、そこだけです。一番に必要な足がないし、しつこさもない。一番・佐野が合っているとは思えず、たとえ安打で走者に出たとしても盗塁、エンドランのサインはベンチも出しづらく、少し重くなる。一死一塁、二死一塁になったとき、クリーンアップの長打で佐野がホームにかえってこられるかと言えば、やはり三塁どまりになってしまうでしょう」

「内角のさばき方は天才的」


 今年は悔しいシーズンとなったが、球界を代表する中距離打者であることに異論はないだろう。

 明大からドラフト9位で入団し、アレックス・ラミレス前監督に才能を見出されると、20年に打率.328、20本塁打、69打点と大ブレークして首位打者を獲得。昨季は打率.306、22本塁打、72打点で最多安打(161本)に。相手バッテリーのマークが厳しくなる中で安打を打ち続けるのは一流の証だ。順調にいけば来季中に国内FA権を取得する。

 他球団の首脳陣は、「内角のさばき方は天才的。今年は思い描いた数字を残せなかったけど、中軸を任せれば結果を残すでしょう。DeNAに残る可能性が高いと思いますが、来オフにFA権を行使したら複数球団の争奪戦になることは間違いない。30代になって一気に衰えがくる打撃スタイルではないですしね。近藤健介(ソフトバンク)、西川龍馬(オリックス)にタイプは似ていると思います」と高く評価する。

 20年から4年間務めた主将は今年に区切りをつけて牧秀悟に託すが、チームの中心選手である立ち位置は変わらない。来季はキャリアハイの成績を残し、1998年以来遠ざかっているリーグ優勝へ導く。

写真=BBM
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