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今季一軍未登板も驚異の三振奪取率…新天地で覚醒期待の「藤川球児2世」は

 

大きな可能性を秘める右腕


12月の現役ドラフトで楽天から広島に移籍した内間


 移籍は野球人生の大きな岐路になる。昨年12月に開催された第1回の現役ドラフトではソフトバンクから阪神に移籍した大竹耕太郎DeNAから中日に移籍した細川成也が大ブレーク。今年12月に第2回が開かれ、馬場皐輔が阪神から巨人佐々木千隼ロッテからDeNAに移籍した。ともにドラフト1位右腕で実績がある投手の移籍に驚きの声が上がったが、今季一軍登板なしに終わったこの右腕も大きな可能性を秘めている。楽天から広島に移籍した内間拓馬だ。

 亜大からドラフト4位で入団した1年目の2021年は11試合に登板。制球に課題があり、11試合登板で防御率5.91と一軍に定着できなかったが高素材の片鱗は見せた。投球回数10回2/3で奪った三振は16。奪三振率は13.50と驚異的な数字を叩き出した。

 他球団のスコアラーは「きれいな回転の直球でホップするような軌道。阪神の守護神として活躍した藤川球児を彷彿とさせます。球速以上の速さを感じるし、きっちり制球できるようになればなかなか打てない」と分析していた。

 常時150キロ以上を計測する直球には大きなロマンが詰まっていたが、今年は一軍のマウンドが遠かった。イースタン・リーグでは17試合登板で3勝0敗、防御率3.88。決して悪い数字ではないが、53回1/3で30四球と制球のばらつきが改善できず。直球も140キロ台前半に落ちるときがあり、33三振にとどまった。25歳とまだまだ若い。広島は大化けが期待できる金の卵として、現役ドラフトで獲得を決断した。

タイトルホルダーをお手本に


 内間の良きお手本が広島にいる。島内颯太郎だ。今年はセットアッパーでリーグトップの62試合登板で3勝3敗39ホールド2セーブ、防御率2.31をマーク。自身初タイトルとなる最優秀中継ぎ投手賞に輝き、4年連続Bクラスから2位に躍進するチームの原動力となった。

 島内は150キロを超える直球が投球割合の61パーセント、変化球はチェンジアップが37パーセントと2種類の球種で98パーセントを占める。変化球が多彩でなくても、生命線の直球をきっちり制球できれば抑えられる。週刊ベースボールのインタビューで、活躍した要因を以下のように振り返っている。

「やっぱり技術的なところと、精神的なところと、両方の面での成長が僕の中ではあったと思います。昨年は自分のボールが投げ切れずに、その分、力みが出て、バッターとの勝負というよりは、自分と勝負をしていたところがあったので。今年はキャンプから首脳陣の方々と話し合って、『ゾーンで勝負していこう』と。フォアボール、フォアボールとなるよりは、打たれたほうがいい。コースで勝負するよりは、ボールの質で勝負する。それは最後までやっていけた感覚があります。精神的なところでも、マウンド上で相手バッターのことを考えることができてきた。配球を考えたり、相手の狙っている球とか、打席での立ち位置とか、そういう部分も冷静に見ることができている感じは、前よりもあるんです」

今季、広島で最優秀中継ぎのタイトルを獲得した島内


「昨年は特に僕の中でしっくり来ていませんでした。『なんか違うな』『なんか違うな』と思いながら投げていたんです。映像で見て違う部分、どこを修正すべきかは分かるんですけど、マウンドに上ったときにそれを体現できない。そういったもどかしさもあって、昨年はなかなか自分のフォーム、自分のボールが投げられない中でやっていました。それで、秋のキャンプあたりから、ようやくしっかり取り組めたんです。やっぱりシーズン中、試合で投げながらだと、どうしても思い切ったことはできないですし、なかなか難しかったので。秋のキャンプからブルペンに入りながら、実戦練習などでいろいろと試して、つかんだものもありました。そういったところから今年はいい形、自分の納得できるフォームで入っていけましたね」

 投球スタイルが重なる内間は参考になる点が多いだろう。亜大の同学年だった矢野雅哉の存在も心強い。底知れぬ潜在能力を秘めた右腕はフォーム固めから見直し、新天地で覚醒できるか。

写真=BBM
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