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【大学野球】プロの世界にたどり着くために…背番号「1」を着け早大打線をけん引する吉納翼

 

2人の先輩を意識して


早大・吉納はラストシーズンで春秋連続での三冠王を目標とした[写真=BBM]


 東京六大学リーグにおいて、打撃部門の三冠王(打率、本塁打、打点)の達成者は戦後17人いる。早大の左のスラッガー・吉納翼(新4年・東邦高)、は史上初となる春秋連続でのトリプルクラウンを狙っている。2度達成した選手すらもいない、偉大なるチャレンジだ。

「打率4割。ホームランは1カード1本で5本塁打。打点は自然とついてくる。ランナーがいる場面では、つなぐ打撃も大事ですが、一発本塁打で流れを呼び込むことも必要。細かい系は、自分のタイプではない。豪快に、自分の打撃の中で、本塁打になればいい」

 昨秋は打率.324、3本塁打、9打点で初のベストナイン受賞。昨春も2本塁打、10打点(通算6本塁打)をマークしており、年間5本塁打と長距離砲としての存在感を示している。

 吉納の持ち味とは何か。

「長所は広角への長打。センター返しを基準に、そこから自分の打撃方向を広げていく。外角ならば逆方向、内角ならば引っ張る」

 意識する先輩が2人いる。吉納は昨秋までの背番号24から、今春からは「1」を着ける。昨秋のリーグ戦後、早大・小宮山悟監督からLINEが入った。来季の背暗号の相談だった。

「3年間、2ケタだったので『1』を希望しました。『1』はチームの核となる選手。主将(背番号10)の次に主役の番号です」

「1、2年生のときは蛭間(蛭間拓哉)さん(西武)が背負っていました。蛭間さんは通算13本塁打。この数字を超えたいと思います。蛭間さんと同じプロの世界で野球をやりたい。(今年1年で)たどり着きたいと思います」

 昨年は1年間、東邦高を通じて1年先輩にあたる熊田任洋(トヨタ自動車)が着けていた。

「熊田さんは、察知していたと思います。聞いてきたので『引き継がせていただきます』と話をしました」

 主将は中京大中京高出身の正捕手・印出太一。吉納は副将であり、愛知県出身の2人が2024年の早大をけん引していくことになる。

「印出は中学校のころから、よく知っています。当時から背が高くて……。中、高、大とすべて最終学年ではキャプテン。仲間から信頼されている。寮の部屋も隣で、ずっと一緒です。『(チームをまとめることは)俺がやるから、翼は野球に集中して』と言われているんです。任せきりとは言いませんが、本当にチームのことを考えて動いている。目標の日本一に向けて、印出と2人で引っ張っていきたいです」

 2020年秋を最後に東京六大学リーグ制覇から遠ざかる。打線のキーマンはフルスイングで、神宮のムードを早大ペースへと持ち込む。

文=岡本朋祐
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