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【大学野球】ドラフトの“超目玉”明大・宗山塁 チーム目標の「四冠」へ…こだわるのは「三冠王」

 

ミーティングで共有した3つのこと


明大・宗山は今春の目標を「三冠王」に設定。打率5割、5本塁打を目標とするポーズを見せた[写真=BBM]


 明大が1月6日、2024年の初練習を行った。

 午前8時、島岡寮内の食堂で行われた全体ミーティングで、3つのことを共有した。

 1月1日に起こった能登半島地震。甚大な被害で、被災地では多くの人が苦しんでいる事実を重く受け止め、何不自由なく新年のスタートを切れることへの「感謝」を確認した。

 2つ目は「寮生活」。明大野球部の伝統は、かつて37年率いた島岡吉郎元監督から伝わる「人間力野球」が不変の合言葉としてある。100人以上の部員が一つ屋根の下で同じ釜の飯を食べる。生活の乱れが、野球に直結する。正月の箱根駅伝で優勝した青学大を引き合いに、グラウンド外の取り組みを見つめ直した。

 3つ目は、2024年の具体的な目標である「四冠」だ(春、秋リーグ戦、全日本大学選手権、明治神宮大会優勝)。主将・宗山塁(新4年・広陵高)は「誰一人欠けることなく、戦っていきましょう!!」と、チームの結束を呼びかけた。

午前8時から島岡寮内の食堂で、新年初ミーティング。田中監督[左]の話に、主将・宗山は真剣な表情で耳を傾けた[写真=BBM]


 全体ミーティング後は島岡元監督の胸像前に集合。参拝前は周辺を草抜き。その後は整列して、主将・宗山のかけ声で深々と一礼した。宗山の「おお、明治♪」の音頭により、校歌斉唱。心を落ち着け、新年初練習に入った。

 ウォーミングアップ後はポール間走34本。昨年12月21日の練習納めの際は30本だったが、年明けは4本増えた。明大・田中武宏監督は「リーグ戦で優勝し、全日本大学選手権で頂点に立つためには4つ、勝たないといけない。苦しい4本。全員で乗り越えるように」と、その意図を説明。約1時間、離脱者を出すことなく、壮絶メニューを見事にクリアした。

 練習後には田中監督と主将・宗山以下、新幹部が会食。チームとして進むべき方向性を意見交換する、有意義な時間となった。

初練習に7球団のスカウト


 宗山は3年秋までに東京六大学リーグ戦で通算94安打を放っている。歴代1位の明大・高山俊(元阪神)の持つリーグ最多131安打に挑む学生ラストシーズンだ。シュアな打撃で安打を量産するだけでなく、遊撃守備も鉄壁。あるNPBスカウトは「今すぐ、一軍で使える」と太鼓判を押し「プロでレギュラーを15年、任せられる」と高い評価を受けている。

 チーム目標の「四冠」へ導くために、自身がこだわるのは打率、本塁打、打点部門でいずれもトップの「三冠王」。打率5割、5本塁打を最低ラインに設定した。田中監督からは「すべてにおいてのスピードアップ」と課題を与えられており、宗山は「自分としても追い求めている。走れて損をすることはない。プレーの幅が広がる」と、貪欲な姿勢を見せた。

「大学4年間を充実させ、成長して、その先の世界に行けるか……。まだまだ、成長できる余地はある。突き詰めていきたい」

 プレー以外にレベルアップしたい分野として、宗山はお茶目な一面を披露した。

「今日の校歌ですか? 70点です(苦笑)。あまり声が、うまく出なかった……。(多くの人に見られ)ちょっと意識してしまいましたね……(苦笑)。校歌も成長したいです!!」

 年末年始に帰省した地元・広島県三次市内では、正月に初詣。おみくじは「大吉を引くと、そこでピークがきた感じになってしまう」と「中吉」にホッとした様子。「これまでの大学生活も大事でしたが、24年はこれからにつながる1年。ケガ、事故なく、ドラフトの年でもあるので、やり遂げられるようにお願いしました」と、1年間の無事と活躍を祈願した。

ポール間走34本を走った後は、全員で記念撮影。新年初日の練習を、良い形で終えた[写真=BBM]


 この日は10人以上の報道陣、NPB7球団10人スカウトが、明大の活動拠点である内海・島岡ボールパークに訪れた。プロ関係者の目的の一つは「2024年ドラフトの超目玉」と言われる宗山の視察。新年一発目の練習に顔を出し、最大限の誠意を見せたのである。

「注目していただけるのは、ありがたいことです。(1年春から)チャンスをもらって、いろいろな場所を経験させてもらっている。見られる部分が多いので、自分のやるプレーには、責任が伴う。結果で示していきたい」

 練習開始前には続々とネット裏の本部室に詰めかけ、田中監督に新年のあいさつ。宗山の獲得にあたり、1位入札の競合は確実と言われており、果たして何球団が重複するのか。いよいよ「宗山ドラフト」のゴングが鳴った。

文=岡本朋祐
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