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【大学野球】「エンジョイ・ベースボール」の申し子 進路を「プロ」に定めた慶大の遊撃手・水鳥遥貴

 

就職活動を休止して


慶大・水鳥はプロ志望を表明した[写真=BBM]


 1年前、慶大の遊撃手・水鳥遥貴(新4年・慶應義塾高)は、卒業後の進路に悩んでいた。

「一般就職をするか、野球を続けるか……」

 2年秋までに、6試合の出場で無安打であるから「現実」を見てしまうのは、無理もない。

 春先には、就活を始めた。大手商社、デベロッパーのほか、民放キー局のアナウンサー試験も受けた。テレビ局では書類審査を突破し、面接に進んだものの、水鳥はここで辞退した。「親とも相談しましたが、(就活を)なめていたのかもしれません」。いったん、就職活動は休止し、野球で勝負する決意を固めた。

 3年春にリーグ戦初安打を放ち、レギュラーに定着した同秋は打率.271、チーム3位の11打点と勝負強さを見せた。左打席からシュアな打撃。50メートル走6秒0、遠投100メートルのポテンシャルを生かした守備力でも存在感を見せた。4季ぶりのリーグ優勝、4年ぶりの明治神宮大会制覇に貢献した。

 12月には大学日本代表候補合宿(愛媛・松山)に参加。秋の活躍、トップレベルの選手と3日間を過ごした経験を踏まえ、卒業後の進路を「プロ」に定めた。堀井哲也監督のアドバイスも背中を押した。「夢を達成したいときは覚悟がいる。中途半端ではダメ。プロに行く選手の共通点は、目と覚悟が違う」。

 今春は打率.430での首位打者が目標だ。遊撃手には「2024年のドラフト超目玉」と言われる明大の主将・宗山塁(新4年・広陵高)がいる。昨年12月の大学日本代表合宿では、ともに3日間を過ごした。

「同級生じゃないみたいなスター(苦笑)。でも、負けたくない。注目度、実績、実力も違いますが、今年1年の結果で示したい。24年シーズンが終わったときに『水鳥がやったな』『伸びたな』と言われるようにしたい」

 日々、テーマを言語化し、課題を一つひとつ克服するルーティンが確立されている。自ら考え、苦難を乗り越え、成果を収める慶大の「エンジョイ・ベースボール」の申し子だ。

文=岡本朋祐
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