「自分が投げて勝たないと、優勝できない」

慶大・外丸は旧チームの主将・廣瀬[ソフトバンク]から譲り受けたグラウンドコートを手にし、笑顔を見せた[写真=BBM]
グラウンドコートの左袖に「Hirose」と刺繍されていた。
慶大の149キロ右腕・
外丸東眞(新3年・前橋育英高)は明かした。
「昨年まで合宿所で同部屋だった廣瀬さん(
廣瀬隆太、元主将、ソフトバンク)からいただきました。ちょうど、自分のが、手元になくて……。寒さをしのげるので、助かっています。これに、パワーをもらいたい」
外丸は昨秋、リーグ戦6勝(0敗)で、4季ぶりのリーグ優勝に貢献し、初のベストナインを受賞した。明治神宮大会では環太平洋大との初戦(2回戦)を7回無失点(7回
コールド)で勝利投手。青学大との決勝では5安打完封で、4年ぶりの秋日本一へと導いた。秋は8勝無敗でシーズンを終えたのである。
3年生は上級生の立場で、自覚が増している。
「自分が投げて勝たないと、優勝できない。この春は、リーグ戦秋春連覇。日本一を取る。自分のピッチングで導けるようにしたい」
チーム一の練習の虫。投手指導を任されている慶大・中根慎一郎助監督は「今すぐ、社会人に入っても遜色ない、高い意識がある」と太鼓判。チーム一の練習の虫は、走り込みとウエートトレーニングでパワーアップを図る。「150キロを出していかないといけない」と、真っすぐのアベレージ向上にも努める。変化球はスライダー、ツーシームが軸だったが「勝負どころで、使えるボールにしたい」と、フォークを習得中。スライダーも縦に鋭く変化し、ここ一番で三振が狙えるのも強みだ。
昨秋はフル回転したが、肩、肘にはまったく問題ないという。常日ごろから気を使う、体のケアの賜物。自身の体をよく知っている。
目標は「5勝以上」で「0点台で最優秀防御率」のタイトルを奪取すること。2年秋を終えて東京六大学リーグ通算11勝。昨年1年で、慶大の絶対的エースへ上り詰め、周囲からの注目度も一変した。年末年始に地元・群馬へ帰省した際には「自分はこれだけ応援されている、ということが、例年以上に分かりました。期待に応えるためにも、結果で恩返ししたいです」と、心の底から誓った。
「個人としては、プロに行きたい。目指しつつも、チームの勝利に貢献したい」
相手校は徹底的な対策に講じてくるだろう。外丸はそれ以上のパフォーマンスを神宮で発揮するための準備を、着々と進めている。
文=岡本朋祐