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【大学野球】母校・法大の監督に就任した大島公一氏 理想の監督像は仰木彬氏&山中正竹氏

 

学生ファーストの熱血指導


2021年から法大助監督を3年務めた大島公一氏が1月1日、新監督に就任した[写真=BBM]


 1月1日付で母校・法大の監督に就任。9日の練習始動日を前にした全体ミーティングで、大島公一新監督は2つの指示を出した。

「生活を整えること。後期試験が控えているので、勉強を頑張るように」

 学生の本分は学業。法大の野球部員である前に、法政大学の学生として、4年間で卒業する。野球以前の取り組みの大切さを訴えた。

「豊かな人生を送っていくため、生きていくためのベースを構築するのが大学4年間です。人任せにならない。自分の健康を維持、増進させるには、生活がしっかりしないといけない。人格形成。人に強制されるものではない。指導する立場としては、学生一人ひとりの人生に影響が出てくる、重責ある仕事です。学生を手助けし、要望があれば、可能な限りで応えられる準備をしていきたいと思います」

 大島監督は法政二高では2年春の甲子園に出場し、法大では3年春から二塁手のレギュラーで3季連続ベストナイン。主将だった4年春にリーグ4連覇を遂げた。日本生命の在籍時は1992年のバルセロナ五輪で銅メダルを獲得し、93年ドラフト5位で近鉄入団。オリックス楽天でベストナイン2回、ゴールデン・グラブ賞3回受賞。引退後はオリックスコーチ、社会人野球監督を経て、2021年に母校へ戻り、昨秋まで加藤重雄前監督を支えた。

 アマチュア球界の王道を歩み、プロの世界でも第一線で活躍。オリックス時代はイチローとの一、二番コンビを組んだ。プロの経験談は「聞かれることもないですし、こちらからしたこともないです」と明かす。21年秋の開幕前、コロナ禍で部内クラスターが発生した際には、加藤前監督とともに合宿所に寝泊まりし、学生の身の回りの世話をした。学生ファーストを軸に、熱血指導を続けてきた。

 理想とする監督像が2人いる。まずは、オリックス時代の指揮官・仰木彬氏だ。

「繊細で当時、データ野球の最先端を行っていました。各選手の潜在能力を引き出し、実戦で発揮させることに長けた監督でした」

 チームビルディングにおいては法大の先輩で、バルセロナ五輪で監督を務めた山中正竹氏(全日本野球協会会長、法大元監督、法友野球倶楽部前会長)を尊敬している。

「マネジメント力。人をけん引するリーダーシップ。適材適所で、人を使うのが上手な監督でした。ある意味、カリスマ性もありましたが、私にはない……(苦笑)。今の私があるのも、山中さんのおかげでもある。期待に応えられるように、少しでも近づけるように日々、学生たちと向き合っていきたいです」

今春の目標は控えめだが……


 今春の目標も、あえて控えめだ。神宮に立つ以上は当然、リーグ優勝、日本一を狙うが、目指す上での準備期間に重きを置いている。

「東京六大学野球に恥じない、迷惑がかからないようにやっていきたい。素直に謙虚に。六大学にはベテランの監督も多いですから、いろいろと勉強をさせていただき、リーグ発展、野球界の発展に貢献できればと思います」

 付属校出身であり、高校、大学で7年間在籍した「法政愛」は相当である。2020年春を最後に、東京六大学リーグ戦での優勝から遠ざかる法大。まずは足元を見つめ直し、寮生活、学校生活を安定させ、野球につなげていく。

文=岡本朋祐
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