週刊ベースボールONLINE

大学野球リポート

【大学野球】「周りから応援されるチームをつくりたい」縁の下の力持ちとして役割を果たし法大の主務・黒坂夏希

 

昨秋の最終戦で印象に残ったシーン


法大の主務・黒坂はチーム運営の中核を担う[写真=BBM]


 2023年秋。法大のリーグ戦最終戦(明大3回戦)で、強く印象に残ったシーンがある。

 法大は2対4で敗れ、1勝2敗で勝ち点を落とした。試合後の整列を終えると、ネット裏、内野席、一塁側応援席に一礼すると、そのまま待機。勝者・明大の校歌とエール、続く敗者・法大の一連のセレモニーを最後まで見届けた。春、秋を通じて後押ししてくれた応援団のほか、神宮に足を運んでくれたファン、関係者に「感謝」の思いを行動で示したのだ。

 この日は、1試合開催。次の試合が控えていなかった状況で、東京六大学野球連盟の理解もあって、実行することができた。

 この場面を見守ったマネジャー・黒坂夏希(新4年・法政大高)は、背筋を伸ばした。

「私が入学した2021年はコロナ禍で、春のリーグ戦は無観客試合ということもありました。各種感染予防対策もあり、なかなか、応援団をはじめ、常日頃から支えていただける方々とも接触する機会を持つことがきませんでした。5類に移行した昨年5月以降からリーグ戦開催も制限がなくなり、改めて、人と人とのつながりの大事さを感じました。そこで、前主将の今泉(今泉颯太)と前主務の上田(上田龍弘)が音頭を取って、行動に移したわけです」

 新チームで主務となり、決意を新たにした。

「この1年、野球部として、周りから応援されるチームをつくりたい。先輩からの意志を引き継がないといけないと思っています」

 法大高では投手。法大では選手として野球を続けるつもりだったが、腰痛もあり、断念。「日本一を目指す環境に身を置きたい」と、マネジャーとして入部した。昨秋限りで退任した加藤重雄監督、今年1月に監督に就任した大島公一助監督の下で目配り、気配り、心配りを学び、最終学年は部運営トップに立つ。

「選手たちが野球に集中できるように、寮生活、グラウンドを含めて、ストレスを感じない環境整備に努めていきたいと思います」

 黒坂主務には同期マネジャーが3人いる。上中咲葵(4年・西武学園文理高)は招待券、広告などの協賛担当、久保田優奈(4年・都青山高)は会計、須田美結(4年・法政大高)は学生動員&グッズデザイン考案と、それぞれの立場でチームを縁の下から支えていく。

 春と秋、神宮球場でプレーするのは当たり前ではない。これまでの長い歴史、多くの関係者の尽力があって、グラウンドに立つことができる。こうした背景を、マネジャーが選手たちに伝えることも重要な役割。勝負の世界で結果を求めることも大切だが、1925年秋に創設された東京六大学野球連盟の加盟校としての責任と自覚を胸に、活動を続けていく。

文=岡本朋祐
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング