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山本由伸に最も近い? 中日の右腕に他球団から「投手タイトル総ナメ」警戒が

 

衝撃的だったデビュー年


2年連続で負け越しに終わった高橋宏。今年は貯金を稼ぐピッチングをしたい


 2年連続最下位からの巻き返しを目指す中日。待望されるのが、「この投手が投げれば勝つ」というスーパーエースだ。オリックスで球界を代表する右腕として活躍し、ドジャースに移籍した山本由伸が象徴的な存在だろう。その山本由伸に「最も近い右腕の1人」として、他球団から高い評価を受けているのがプロ4年目の高橋宏斗だ。

 セ・リーグで中日と対戦する球団の打撃コーチはこう評する。

「2022年に一軍デビューしたときは衝撃的だった。登板を重ねるたびに良くなって、夏場の絶好調のときは『ああ、これは連打が出ないな』って。他球団にもいい投手入るけど、高橋宏斗の良いときはワンランク違う。すごい投手が出てきたなと感じた。能力的には投手のタイトルを独占しても不思議ではない」

 中日の日本人選手では史上最速記録となる158キロを計測し、140キロ近いスプリットとのコンビネーションで三振の山を築く。牧秀悟(DeNA)は「当たらないです。真っすぐも強くて、そんなに落差があるというわけではないけど、自分の印象では速さもあって真っすぐの軌道でそのまま落ちてくるので、真っすぐを打ちにいってスプリットだったという印象です」と週刊ベースボールの企画で証言。中村悠平(ヤクルト)も「落差があってすごく速い。一見、ツーシーム系かなと思うんですけど、落とすときはもっと鋭く落ちる。WBC決勝でも受けていて、相当意識して身構えないと対応が遅れてしまうと感じました。ボール先行でも投げるぐらい自信持っていました」と語っている。

不安定だった立ち上がり


 22年は19試合登板で6勝7敗、防御率2.47をマーク。後半戦は27回2/3連続無失点を記録し、強烈なインパクトを残した。さらなる飛躍が期待された昨季は侍ジャパンにメンバー最年少で選出され、救援でWBC世界一に貢献。シーズンでも先発の柱として期待されたが、25試合登板で7勝11敗、防御率2.53と負け越した。打線の援護に恵まれない登板が多かったことを考慮しなければいけないが、直球を痛打される場面が目立ったのも事実だった。他球団とのエースと対戦する際は先制点を与えると苦しくなる。全52失点のうち、2回までに22失点と立ち上がりが不安定だったことも白星を積み重ねられない要因だった。

 ほかの投手なら合格点をつけられるかもしれないが、高橋宏の能力を考えると求める水準が高くなる。低迷期のチームは、絶対的エースが誕生すればガラッと変わる。山本由伸もかつてそうだった。セットアッパーから先発に転向した19年は8勝6敗、20年も8勝4敗と打線の援護に恵まれず2ケタ勝利に届かなかった。チームも2年連続最下位に沈んだが、21年に18勝5敗、防御率1.39でリーグ制覇に導いた。山本のすごみはこのハイレベルなパフォーマンスを続けたことだ。同年から最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率(.783)と投手タイトルを独占。山本の背中を追いかけた宮城大弥山下舜平大東晃平と次々に好投手が台頭する。投手王国を築き、リーグ3連覇を飾った。

侍ジャパンの常連に


 高橋宏も中日のエースにとどまらず、球界のエースになれる逸材だ。週刊ベースボールのインタビューで、「次のロサンゼルス五輪(28年)では開催されるので、そこでもっと野球をメジャーにできるように頑張りたいです。東京五輪で金メダルを獲得した大野雄大さんから、『次はお前の番だ』と言われました。3月のWBCで世界一に貢献できて、1つ先輩に恩返しできたのかなと感じます。これからも日の丸の大会には呼ばれ続けたい。そこで結果を残せる選手になるために、秋季練習ではテークバックを意識しています。体から外れて、上半身と下半身のタイミングが合わないことがないように。地道な反復練習は大きな成果を得る近道だと信じてやっています」と語っている。

 覚醒の時へ――。今季は投手タイトルを総ナメにする活躍を見せられるか。

写真=BBM
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