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同学年の村上頌樹と実力で遜色なし 他球団が絶賛する「阪神の本格派右腕」は

 

スケールの大きな右腕


潜在能力を開花させて、さらに飛躍を目指す才木


 阪神の投手陣で今季真価を問われる右腕が、プロ4年目の村上頌樹だ。昨年は22試合登板で10勝6敗1ホールド、防御率1.75と大ブレーク。最優秀防御率、MVP、新人王を受賞し、38年ぶりの日本一に大きく貢献した。今季は相手球団のマークが厳しくなるが、球界屈指の制球力に磨きをかければ、先発の大黒柱として十分に計算できるだろう。

 そして、村上と同学年の才木浩人も「阪神のエースに」なる資質を秘めている。昨季は19試合登板で8勝5敗1ホールド、防御率1.82の好成績をマーク。118回2/3と規定投球回数に到達できなかったが、才木の活躍がチームに勇気を与えた。強烈なインパクトを残したのが、令和の怪物・佐々木朗希に投げ勝った6月4日のロッテ戦(甲子園)だ。9回3安打12奪三振で完封勝利。先発した交流戦3試合すべての登板で無失点に抑え、史上4人目の交流戦防御率0.00を達成した。

 8月に腰の張りで戦列を離れたが、9月は3試合に先発して防御率0.39をマーク。9月14日の巨人戦(甲子園)で7回3安打1失点と好投し、18年ぶりとなるリーグ優勝の歓喜を味わった。同月24日の中日戦(バンテリン)では延長10回を130球の熱投で無失点。白星はつかなかったが、150キロを超える直球の球威は最後まで落ちず、スライダーとフォークのコンビネーションで打者をねじ伏せた。

 他球団の打撃コーチは才木をこう評する。

「手術から復帰して球がさらに力強くなっているように感じる。身長189センチの長身からしなやかなフォームで投げ込んでくるので、捉えたと思っても押し込まれている。フォークの精度も良いのでなかなか攻略が難しい。スケールの大きい投手で、球界を代表するエースになれる素材だと思います」

右肘痛からの復活を果たして


 智弁学園高で3年春にエースで同校史上初の全国制覇に導くなど、甲子園に3度出場した村上と高校時代の歩みは対照的だ。中学卒業時は野球の名門校から声が掛からず、公立高校の須磨翔風高へ。全国大会とは無縁だったが最速148キロの直球がプロのスカウトの注目を集め、ドラフト3位で阪神に入団した。高卒1年目の2017年に一軍デビューを飾り、18年には6勝をマーク。順調に階段を駆け上がっていった。

 だが、19年に右肘痛を発症すると、20年は一軍登板なしでトミー・ジョン手術を受け、育成契約に。リハビリ生活を経て22年7月3日の中日戦(バンテリン)で1159日ぶりの白星を挙げ、お立ち台で涙を流した姿が印象的だった。

回り道ではなかったケガ


 ケガをしたことは回り道ではない。才木は週刊ベースボールのインタビューで、「リハビリの期間は時間がたくさんありましたので、体のつくりのことをすごく勉強しました。それに合わせて投球フォーム、メカニックのことなども勉強するなど、本当にいろいろなことを学びました。今後、それが形になったときにどういうパフォーマンスができるのかな、という自分自身への興味があります」と語っている。

 投球フォームの改良にも乗り出した。手術前と大きな変化はないように見えるが、「僕の中では変わっています(笑)。以前は体を後ろに反ってから、担ぐような投げ方をしていました。今はそこまで担ぐような投げ方ではなく、体の軸を作ってから投げていく形を取っています」と明かしていた。

 高卒で同期入団した投手の中に、山本由伸(ドジャース)がいる。オリックスで21年から最多勝、最優秀防御率、最多勝率、最多奪三振、沢村賞と3年連続「投手5冠」に輝いた右腕はポスティング・システムで海の向こうに渡った。昨年の日本シリーズでは村上と山本が2度投げ合った。才木はその光景を見て何を感じたか。村上と切磋琢磨し、投手王国のエースへ。25歳右腕の全盛期はこれからだ。

写真=BBM
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