週刊ベースボールONLINE

大学野球リポート

【大学野球】「何とか野球を続けたくて…」 “栗山英樹”を形成する上で原点となった大学4年間

 

大学の監督会で講演


栗山英樹氏[侍ジャパン元監督]が全日本大学野球連盟監督会で講演した[写真=BBM]


 全日本大学野球連盟の監督会の2日目が1月17日、神奈川県横浜市内のホテルで開催された。昨年3月のWBCで侍ジャパン監督として世界一へと導いた栗山英樹氏が「WBC王者への道」と題した特別講演を行った。

 監督会会長を務める慶大・堀井哲也監督から依頼されたテーマは5つ。

・代表監督を引き受ける覚悟と要因
・チームづくりの上での留意点
・勝負を分けたポイント
・大会後に思うこと
・代表監督と球団監督の違い

 設定された90分ですべて網羅することはできなかったというが、具体例を挙げ、一つひとつの出来事、エピソードを丁ねいに説明。出席者はメモを手に、熱心に耳を傾けた。

 栗山氏はあくまでも、大学野球の監督をリスペクトする姿勢を貫いた。

「(高校生とは異なり)大人になりかけている中での大学生の感情とか、教育は、野球界で重要なポイントになる非常に難しい時期。大学生は自我がしっかりしているし、監督さんは大変だろうと思います。それは、僕がどうこう言うより、教えてもらわないといけない」

 さらに、指導現場への尊敬の念は続く。

「自分の経験したことが、一つでもプラスになれば、の話なので。僕から『こうしてください!』ということはない。同じ監督として、皆さんのそれぞれの感覚で良いので、このケースで『僕はこう思ったんです』ということが、参考になればいいだけ。(大学野球の監督を経験していない)僕が分かっていないことに対して、こじつけるつもりはないので、皆さんのほうが(大学球界の事情を)理解されているので、そこからもし、使えることがあれば。使えるものは、ないですよ(苦笑)」

 いつも謙虚で、相手を思いやる栗山氏らしい発信。だからこそ、出席者の心をつかむ有意義な時間となったのは、言うまでもない。

国立大からのプロ入り


 栗山氏は「大学野球経験者」である。東京学芸大からドラフト外でヤクルト入団。国立大学からのプロ入り。大学4年間を経て、夢舞台をつかんだ努力の人、苦労人である。

「僕の大学4年間は、めちゃくちゃダメな4年間ですからね(苦笑)。普通に授業をやって、何とか野球を続けたくて、必死になってやっていただけなので。僕の4年間は参考にならない。ただ、環境が整わず、野球ができない状況にいたので、いまだに『野球が好きである』というところにはつながっていると思う。もし、あるとすれば、こんなにダメダメ君なところからでも、まだ、野球をやれる可能性はあるんだぞ! ということはあるかもしれない。自分の中でそれが、いまだに野球が大好きでいられる要因かなと思います」

 ドラフト外から一軍でプレーするチャンスをつかみ、引退後は評論家など幅広い分野で活躍後は日本ハム監督、そして、侍ジャパン指揮官と、指導者としても大輪の花を咲かせてきた。栗山氏が歩んできた足跡は、多くの人に影響を与えているが、謙虚にこう答えた。

「そんなことない(苦笑)。ドラフト外も何もギリギリ、オミソで入れてもらったようなものなので。でも、それはそれで、プロテストを受けて『何とか、プロの門をたたきたい』と思っていた気持ちは、僕にとっては、今でも重要なので」

 野球人・栗山英樹を形成する上で、原点となったのは大学4年間だった。

文=岡本朋祐
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング