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昨季は22試合出場のみも…他球団が「三冠王狙える」と絶賛の強打者は

 

万全な状態を目指して


来日5年目を迎えたオースティン


 この男が試合に出続けてくれれば……。近年は優勝候補に挙げられながら覇権奪回がかなわないDeNAの戦いぶりを見て、復活を待ちわびているDeNAファンは多いだろう。今季来日5年目を迎えるタイラー・オースティンだ。

 故障に泣かされ続けている。2022年は痛めていた右肘のクリーニング手術のため4月にアメリカへ帰国。早期復帰を目指して1週間も経たず再来日し、ファームで実戦を積み重ねて8月に一軍合流したが、右肘の状態が芳しくない。守備に就けないためスタメン出場がなく代打での出場にとどまり、38試合出場で打率.156、1本塁打、3打点と不本意な結果に終わった。同年オフにアメリカの病院で右肘内側側副靭帯修復手術を行い、昨年は5月から一軍に合流。万全のコンディションで活躍が期待されたが、6月の交流戦でヘッドスライディングをした際に右肩を負傷して戦線離脱した。一軍の舞台に戻ってくることはなく、9月20日に帰国。アメリカ国で「右鎖骨遠位端切除術」の手術を受け、今季を万全な状態で迎えるためリハビリに励んでいる。

 日本の球史に名を刻む強打者として、名を轟かせても不思議ではなかった。現役時代に助っ人外国人市場で初のNPB通算2000安打をマークしたアレックス・ラミレス監督は「今まで見てきた外国人選手の中で一番のインパクト」と絶賛。阪神岡田彰布監督も野球評論家だった20年に「彼は打つやろな。目の前でホームランを打ったのだが、その結果ではなく、バッティングが素晴らしい。実にシャープにバットが出るし、左右に打ち分けることができる。いかにも日本向きのバッターで、かなりの数字を残せると判断できる」と週刊ベースボールのコラムで高く評価していた。

穴がなく厄介な打者


 来日1年目の20年は65試合出場で打率.286、20本塁打、56打点をマーク。右翼の守備でフェンスに激突し、脳しんとうとむち打ちにより離脱するなど全力プレーの代償で何度も戦列を離れたが、シーズン44本塁打、123打点のペースの成績を残して強烈なインパクトを与えた。翌21年は107試合出場で打率.303、28本塁打、74打点をマーク。規定打席到達に4打席足りなかったが、主に四番で得点圏打率.354と勝負強さを発揮した。同年7月に開催された東京五輪でもアメリカ代表で全6試合に出場し、打率.417、2本塁打、7打点の好成績を記録。オフに3年契約で、25年の選択権は球団が保有する契約を結んだ。

 主軸として期待されたが、コンディションが整わなければ力を発揮できない。22、23年と不本意な結果に終わり、契約最終年の今季は期する思いが強いだろう。他球団のスコアラーは、「実力は申し分ない。長打を打てるだけでなく、コンタクト能力が高いので打率も残せる。万全のコンディションで試合に出続ければ三冠王を狙える強打者だと思います。オースティンがスタメンに入ると圧力が全然違う。穴のない打者ですし厄介ですよ」と警戒を強める。

球団史上歴代最強助っ人


98年の日本一にも貢献したローズ


「球団史上歴代最強の助っ人」の呼び声が高いのが、ロバート・ローズだ。1993年から横浜(現DeNA)に在籍した8年間で首位打者、打点王を2度、最多安打を2度獲得。98年に38年ぶりのリーグ優勝、日本一貢献し、99年は打率.369、37本塁打、153打点と驚異的な成績で首位打者、打点王、最多安打(192本)を獲得した。オースティンは15年に在籍していたアリゾナ・フォールリーグで打撃コーチを務めていたローズから助言を受けた経験があり、DeNAで20〜22年までローズが背負っていた背番号「23」を身にまとうなど、深い縁がある。

「無事これ名馬」ということわざがある。試合に出続けることも一流選手の証だ。オースティンがシーズンを通じてグラウンドに立ち続け、ローズのような活躍を見せれば覇権奪回にグッと近づく。この願いが決して高望みでないことを、今年は証明して欲しい。

写真=BBM
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