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【高校野球】センバツ落選の桐光学園 プロ注目の大型遊撃手・森駿太、強打の捕手・中村優太は「夏一本」へ再出発

 

「唯一無二のプレーヤーを目指したい」


桐光学園高のプロ注目の森[左]と中村[右]。春のセンバツ選考から漏れたが、すでに気持ちを切り替え、夏の甲子園での全国制覇を目標に練習を積んでいる[写真=BBM]


 あくまでも目標は「夏の甲子園、全国制覇」である。桐光学園高(神奈川)は今春のセンバツ甲子園の選考から漏れた。当落線上の立場で選抜選考委員会当日(1月26日)を迎えた。初出場を遂げた2001年以来、23年ぶりの吉報は届かず。昨秋の関東大会準々決勝敗退以降、春を想定した練習を進めてきたが、現実を受け止め「夏一本」へ再出発している。

 主将・森駿太(新3年)は真っすぐ前を向いて言った。結果で気持ちは左右されない。

「自分たちが置かれていた状況は選ばれる側。選出されたときに一番、良い結果を出せるように準備するだけでした。自分たちの目標は甲子園での優勝なので、そこを変えることなく、強みを伸ばし、さらに自信をつけられるような練習をして、夏にもう一回、神奈川の王者として返り咲けるように日々練習します」

 森は芯がしっかりしている。高校卒業後の進路は「プロ志望」。同校から高校生でドラフト指名を受けたのは、2013年度のドラフトにおける楽天1位・松井裕樹(現パドレス)のみ。森はNPBを志した背景を明かす。

「高校1年冬の段階では大学進学を考えていたんですが、増田さん(仁、コーチ)との出会いが大きく『高い目標、一番を追い求めていかないといけない』という考えに変わりました。(同校で)野手では前例がないですが、高卒で行くという信念を持ってやっています」

 右投げ左打ち。高校通算29本塁打、50メートル走6秒1、遠投100メートルの潜在能力。チームでは一番を任され、187センチの大型遊撃手としてNPBスカウトから注目されている。桐光学園高を率いて就任40年のベテラン・野呂雅之監督は「細かい動きもできる、器用な選手。向上心があり、よく練習をします」と、心身の充実ぶりに太鼓判を押す。

 好きなショートは「坂本勇人(巨人)さんのように、試合に出続ける。勝負強い打撃。ここ一番の場面で必要とされる選手になりたい」と前を向く。左打者としては「秋広優人(巨人)さんは身長2メートルあって、あの内角のさばきができる」と「外野の頭を越す打撃。いつでも本塁打を打てるようにしたい」と長距離ヒッターを目指す。「この体の大きさを生かせれば、重宝されると思う。守備のカナメ。打線の中心。唯一無二のプレーヤーを目指したい」。好きな言葉は「謙虚」であり、常に足元を見つめ、まずは主将として、2012年以来となる夏の甲子園へ導くことに専念する。

「高校No.1捕手を目指す」


 ポテンシャルの高い森と並んで将来性があり、NPBスカウトが熱視線を送っているのが四番の正捕手・中村優太(新3年)だ。

 キャリアは申し分ない。小学6年時は横浜DeNAベイスターズJr.でプレー。中学時代に在籍した湘南ボーイズでは遊撃手として全国大会優勝、DeNAベイスターズカップでも優勝を遂げた。

 桐光学園高では1年春から遊撃手のレギュラー。遠投110メートル。体力測定では高校生のドラフト候補の中でも上位に位置する数値をたたき出すという。身体能力の高さに加え、周囲を見渡す洞察力から、1年冬に捕手へ転向。2年春からは不動の司令塔として本塁を死守してきた。2001年春のセンバツ初出場時の主将・捕手で、東海大、セガサミーでプレーした天野喜英コーチから細部まで指導を受けた。野呂監督は「この1年で、捕手としての技能が飛躍的に上達している。二塁送球は2秒をオーバーすることはなく、肩の強さがある。何より潜在的な体の強さがあり、声の出し方も的確。守りにおいて、大きなウエートを占めている」と全幅の信頼を寄せている。

「コンバートした当初は不慣れで、悩んだ時期もありましたが、昨年の夏、秋を経て楽しさが上回るようになりました。常日頃から投手とコミュニケーションを取り、試合において、バッテリーが理想の形でアウト一つを取れたときの達成感がたまらなくうれしいです」

 ライバルは今春のセンバツ出場を決めた健大高崎高・箱山遥人(新3年)と広陵高・只石貫太(新3年)。「自分は高校No.1捕手を目指している。同級生に負けたくない」と闘志を燃やす。高校通算24本塁打。プロから注目を集める右の強打の捕手は「夏の甲子園の全国制覇が目標」と意欲を語る。主将・森とともに、司令塔・中村がセンターラインを固めていく。

文=岡本朋祐
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