頂点を狙う上で、大きなプラスアルファになるのが新戦力の台頭だ。昨季は
阪神・
村上頌樹が10勝6敗1ホールド、防御率1.75の大活躍で、最優秀防御率、MVP、新人王を獲得。38年ぶり日本一の原動力になった。今季大ブレークする選手は現れるか。「金の卵」の覚醒はチームの命運を大きく左右する。今回はセ・リーグで各球団の若手成長株を取り上げた。2月の春季キャンプから若さを武器にアピールしたい。
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根尾昂(中日)
※昨季成績 2試合登板、0勝0敗1ホールド、防御率0.71
※通算成績 27試合登板、0勝0敗1ホールド、防御率2.59
野手から転向し、本格的に投手として稼働した昨季はシーズン終盤に一軍昇格。プロ初勝利はマークできなかったが、力で抑え込む投球から制球力と球のキレを重視した投球スタイルにモデルチェンジして安定感が高まった。今年の春季キャンプは一軍スタート。オフから取り組んでいる肉体強化の成果が出て、体に厚みが増している。先発ローテーション争いは熾烈だが、実戦で好投を続けて首脳陣の信頼をつかみ取りたい。
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森下翔太(阪神)
※昨季成績 94試合出場、打率.237、10本塁打、41打点、1盗塁
※通算成績 94試合出場、打率.237、10本塁打、41打点、1盗塁
ルーキーイヤーの昨年にリーグ優勝、日本一を経験。7月上旬以降は外野の定位置をつかみ、クライマックスシリーズや日本シリーズの短期決戦に勝負強い打撃でチームの勝利に貢献した。シーズンで2ケタ本塁打をクリアしたことは評価できるが、好不調の波が激しく打率が上がらなかった点は課題だ。森下が「三番・右翼」で固定できる活躍を見せれば、リーグ連覇の確率が高まる。打率.300、20本塁打、80打点は達成可能な数字だ。
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常廣羽也斗(
広島)
※新加入
大学生の新人投手が豊作と評されたドラフトの中で、球界を代表するエースになれるスケールを秘めた右腕が常広だ。最速153キロの直球は浮き上がる軌道で空振りを取れる。スライダー、チェンジアップ、スプリットの精度も高く、プロで十分に通用する。広島は
野村祐輔、
大瀬良大地、
森下暢仁、
栗林良吏とドラフト1位右腕の先輩たちが、プロ1年目に新人王を受賞している。常廣も先発ローテーションで2ケタ勝利を目指す。
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度会隆輝(
DeNA)
※新加入
ミート能力とパワーを併せ持った打撃スタイルは、高校、社会人を経てプロ入りした
福留孝介と重なる。春季キャンプでは初日から力強いスイングでサク越えを連発。存在を強烈にアピールしている。DeNAは一番に度会を固定できれば、打線の破壊力が一気に増す。底抜けに明るいキャラクターで早くもファンの心をがっちりつかんだ。98年以来リーグ優勝から遠ざかっているチームの救世主になれるか。
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秋広優人(巨人)
※昨季成績 121試合出場、打率.273、10本塁打、41打点、0盗塁
※通算成績 122試合出場、打率.273、10本塁打、41打点、0盗塁
高卒3年目の昨季に頭角を現した若武者は無限の可能性を秘めている。球団歴代最長身タイの身長2メートルの肉体から振り抜かれた打球は軽々とフェンスを越えるが、魅力は長打力だけではない。差し込まれても遊撃の頭を越える安打を放つ高等技術で、ヒットゾーンが広い。8月以降に下降線をたどり、規定打席到達に4打席足りなかったが、まだ能力の一端を見せたにすぎない。将来は三冠王を獲得しても不思議でない逸材だ。
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吉村貢司郎(
ヤクルト)
※昨季成績 12試合登板、4勝2敗、防御率4.33
※通算成績 12試合登板、4勝2敗、防御率4.33
即戦力右腕として期待された新人の昨季は開幕から先発ローテーション入りしたが、5月末に上半身のコンディション不良で3カ月間戦線離脱。9月に復帰したが、シーズンを通じて稼働できなかった。持っている能力は間違いなく高い。昨年11月にはアジアプロ野球チャンピオンシップで侍ジャパンに選出され、大会連覇に貢献した。先発がコマ不足のチーム事情の中、今年は規定投球回をクリアできるか。
写真=BBM