週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

阪神で昨季一軍出場なしも…他球団が「森下のレギュラー脅かす」高評価の和製大砲は

 

オフに支配下昇格


一軍キャンプで強烈なアピールを見せている野口


 リーグ連覇を目指す阪神。沖縄・宜野座で行われている春季キャンプで注目を集めているのが2年目の野口恭佑だ。

 2月7日のランチタイム特打では7連発を放ったことが、メディア各紙で報じられた。フリー打撃の飛距離で言えば、チームメートの佐藤輝明森下翔太に見劣りしない。他球団のスコアラーは警戒を口にする。

「長打力だけでなく、コンタクト能力も高い。鈴木誠也(カブス)と重なりますね。打球に角度をつけて飛ばす技術を身につけたように感じます。能力の高さで言えば同期入団の森下翔太に見劣りしないし、外野のレギュラーをつかむ可能性は十分にある」

 育成枠で入団し、1年目の昨年は春先からファームの四番に抜擢された。67試合出場で打率.303、6本塁打、18打点をマーク。秋季キャンプでも打撃でアピールし、岡田彰布監督が高く評価。支配下昇格が決まり、この春季キャンプも一軍メンバーに抜擢された。

 外野陣は中堅・近本光司のレギュラーが決まっているが、両翼は確定していると言えない。左翼はシェルドン・ノイジー、右翼は森下が最有力候補だが、ともに確実性に課題が残る。野口も今後の練習試合、オープン戦で結果を残せば、定位置奪取が現実的な目標として見えてくる。

野球に対するストイックな姿勢


 中大で東都大学リーグを代表するスラッガーとして評価を上げ、ドラフト1位で入団した同学年の森下とは対照的な歩みだ。九産大で2年の冬に日本代表候補合宿に参加し、4年の春にはベストナインを獲得したが、リーグ通算打率.314、3本塁打と強烈なインパクトを残せたわけではない。NPB入りを希望したが、支配下で指名が掛からず育成ドラフト1位で阪神に入団した。

 九産大・大久保哲也監督は野口が野球に向き合うストイックな姿勢を称賛していた。

「右打者でコンタクト力、ミート力がある中距離ヒッターです。打撃フォームにクセがないため、どんな投手にも対応できる。足(50メートル走6秒0)と肩(遠投100メートル)もあり、使い勝手のある選手です。何よりも、私が評価しているのは姿勢。ものすごい練習量であり、寮でも一人、バットを振っている。申し分ないです」。

 プロに入ればドラフトの指名順位は関係なく、実力の世界だ。野口と同様に育成枠で入団した小野寺暖はプロ2年目の2021年4月に支配下昇格。昨年は43試合出場で打率.347、0本塁打、11打点の好成績を残してリーグ優勝、日本一に貢献した。外野のレギュラーを争うライバルだが、一軍で奮闘する先輩の姿に大きな刺激を受けただろう。

「絶対にはい上がってやる」


 育成から支配下昇格し、活躍している野手を見ると牧原大成(ソフトバンク)、松原聖弥松本哲也(巨人)、岡田幸文(ロッテ。現楽天一軍外野守備走塁コーチ)など俊足巧打のタイプが目立つ。野口のような長距離砲が1軍で活躍すれば、新たな歴史が切り拓かれる。

 ロッテで外野守備のスペシャリストとして活躍した岡田は、育成入団からはい上がった自身の野球人生について、週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っている。

「ロッテの入団テストに誘われたのは2007年の秋です。あとから分かったのですが、その入団テストは育成選手としてのものでした。翌年には24歳になる。とにかく育成でもいいから、プロの世界に飛び込めばチャンスがある。育成ドラフトで指名を受けたときは結婚もしていたし、娘も生まれていました。でも、やる気と自信しかなかった。何のプライドもないし、ダメだったらしょうがないけど、『絶対にはい上がってやる』という強い気持ちだけはある。今思えば、何の根拠もない自信だったかもしれません。僕がそういう性格だということなのでしょう」

 野口も内に秘めた闘志は熱い。外野の定位置争いで序列をひっくり返せるか。人生を変えるための猛アピールは続く。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング