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昨季は6勝も…他球団が「タイトル獲れる実力」と警戒する巨人の左腕は

 

日本で1年間経験して


来日1年目の昨年は6勝をマークしたグリフィン


 先発左腕の活躍はチームの命運を握る。

 昨年38年ぶりの日本一に輝いた阪神大竹耕太郎が12勝、伊藤将司が10勝をマーク。後半戦に救援で大活躍した桐敷拓馬も先発で1勝を挙げている。リーグ3連覇を飾ったオリックス山崎福也(現日本ハム)が11勝、宮城大弥が10勝、田嶋大樹が6勝、曽谷龍平が1勝と計28勝を積み上げた。一方で2年連続Bクラスに沈んだ巨人はフォスター・グリフィンが6勝、ヨアンデル・メンデスが5勝、横川凱の4勝で計15勝にとどまった。

 先発ローテーションの柱として期待されたグリフィンは20試合登板で6勝5敗、防御率2.75。白星が伸びなかったが救援陣が崩れたり、打線の援護に恵まれなかったりした登板があり、決して投球内容は悪くなかった。他球団の首脳陣は「対戦した感覚で言えば、外国人投手の中でトップクラス。投手タイトルを獲得する力を持っている。日本で1年間プレーして感覚をつかんだと思う。今年も難敵になることは間違いない」と警戒を強める。

リリースが遅いフォーム


 昨年初の対外試合となった2月22日のキューバ戦で2回無安打無失点に抑えた際、現役時代に快速球左腕で通算139勝をマークした野球評論家の川口和久氏が週刊ベースボールのコラムで高く評価していた。

「190センチの長身左腕でリーチが長く、ボールに力があった。この時期ですでに150キロ台が出ていたし、変化球のキレもよい。フォームで目立つのはリリースが遅いことだ。背筋を使う時間が長く、打者の近くでボールを離せているから、体感スピードもそうだが、変化球もかなり打者寄りで変化しているように見えるはずだ。得意球のカットボールを高めにうまく使い、キューバ打線を抑え込んでいた」

 シーズンに入ると、150キロ台の直球にカットボール、ナックルカーブを織り交ぜて打者を翻弄。制球が良いため四球で崩れる心配がなかった。121回を投げて115奪三振。ヤクルト中日から3勝ずつマークした。一方で阪神戦は3試合、広島戦は4試合に登板したがいずれも白星を挙げられなかった。

08年に最多勝のG助っ投


08年に17勝を挙げて最多勝に輝いたグライシンガー


 巨人で最多勝を挙げた外国人投手は2008年のセス・グライシンガーまでさかのぼる。前年の07年にヤクルトで16勝を挙げて最多勝に輝くと、巨人に移籍初年度も17勝9敗、防御率3.06をマーク。206回の投球回数はリーグトップだった。ヤクルト、巨人、ロッテと渡り歩き、8年間で通算64勝。グライシンガーは巨人在籍時の08年に週刊ベースボールのインタビューで、日本での過ごし方、異国の地で成功する秘訣について、以下のように明かしている。

「休日を有効に使うためには、体を休めることが一番なんだけど、やっぱり新しい街を散策するのが好きだからね。好きなエリアは麻布十番かな。ラーメンも好きなので、常に新しい店を探している。いま、お気に入りのラーメン屋は新宿にある。できれば、ゴルフもやりたいんだけどね」

「まずいろいろな違いを理解して、その国の文化に敬意を表さなければいけない。また、フィールド上では練習のときなど、とにかく自分の感情は抑えたほうがいいね。静かにして、周りの人がどういうルーティンで練習をするのか、どういうふうな動きをするのかなど、さまざまなことを観察して、それに従っていく。とはいえ、ゲームになると、自分が今までやってきたことを大切にしたほうがいいね」

 来日2年目で日本の生活に対する不安も解消されているだろう。グリフィンとメンデスが共に投手タイトルを狙えるような活躍を見せれば、4年ぶりのV奪回が現実味を帯びる。

写真=BBM
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