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元阪神右腕が巨人の救世主? 他球団から「最も厄介な新戦力」警戒が

 

フォーク習得で広がった幅


新天地の巨人でもリリーフで躍動するピッチングが期待されるケラー


 2年連続4位に低迷した巨人は阿部慎之助新監督が就任し、オフに不安定だった救援陣の再建に乗り出した。アダム・ウォーカーとの交換トレードでソフトバンクから高橋礼泉圭輔を獲得。オリックスから金銭トレードで近藤大亮、現役ドラフトで阪神から馬場皐輔が移籍してきた。ドラフト5位左腕の又木鉄平もキャンプで好投を続け、猛アピールしている。そして、宿敵の阪神から頼もしい右腕がもう一人加わった。最速157キロの直球と縦に割れるフォークを武器に日本で実績十分のカイル・ケラーだ。

 他球団のスコアラーは警戒を口にする。

「能力は非常に高い。来日後にフォークを覚えたことで投球の幅が広がり、打ちづらい投手になりました。阪神で2年間プレーしているので、日本野球に適応する時間がかからないのも大きなメリットです。個人的には巨人に加入した新戦力の中で最も厄介な投手ですね。三振奪取能力で言えば大勢と引けを取らないし、抑えでも十分稼働すると思います」

貢献度の高いピッチング


 ケラーが阪神に入団したのは2022年。前年まで絶対的守護神として活躍したロベルト・スアレス(パドレス)の後釜として期待されたが、来日デビュー戦となった3月25日の開幕・ヤクルト戦(京セラドーム)で1点リードの9回に山田哲人に同点弾、ドミンゴ・サンタナに勝ち越し2ランを浴びて救援失敗。登板2試合目となった29日の広島戦(マツダ広島)でも1点リードの9回に一死満塁とピンチをつくって降板し、後続の投手が痛打を浴びて2戦連続で敗戦投手となり登録抹消された。

 最悪のスタートとなったが、ここからはい上がる。直球とカーブの2種類のコンビネーションで配球が手詰まりになっていたため、ファーム降格後にフォークの習得へ乗り出す。6月に一軍昇格すると17試合連続無失点と安定した投球を続けた。外国人8選手の中で唯一残留した昨季は開幕から一軍に帯同し、27試合登板で1勝1セーブ8ホールド、防御率1.71の好成績をマーク。26回1/3で28三振を奪った。強力救援陣の一翼を担っていたが、家族の事情で8月上旬に米国に帰国。その後は再来日せず保留者名簿から外れて自由契約となっていた。クライマックスシリーズや日本シリーズで登板機会がなかったが、38年ぶりの日本一に輝いたチームの中でケラーの貢献度は高い。

「チームメートと積極的にコミュニケーションを取り、食事にも出掛けていました。不調でファームに落ちたときも心が折れることなく、一生懸命練習に取り組んでいた。選手たちから慕われていましたし人格者です。今年から手強い相手として立ちはだかることになりましたが、対戦が楽しみですね」(在阪スポーツ紙記者)

チームの命運を握る新戦力


 新戦力の活躍はチームの命運を握る。昨年にソフトバンクから阪神に現役ドラフトで移籍した大竹耕太郎は21試合登板で12勝2敗、防御率2.26と自己最高の成績をマーク。大竹の活躍なしに首位独走はなかっただろう。リーグ3連覇を飾ったオリックスも西武からFA移籍した森友哉が110試合出場で打率.294、18本塁打、64打点をマーク。四番でチーム最多の71試合にスタメン出場し、得点圏打率.363と勝負強い打撃でポイントゲッターに。捕手でも好リードで投手陣を引っ張った。

 ケラーは昨季巨人戦に6試合登板で1セーブ、3ホールド、防御率0.00と抑え込んだ。新天地で臨む今年もセットアッパーとして期待されるが、大勢の状態次第では守護神で起用される可能性が考えられる。阪神戦は昨季6勝18敗1分と大きく負け越した。接戦になる展開が多かったが、救援陣の差が対戦成績に表れる形となった。ケラーが救援陣の柱になり、V奪回を狙う巨人の救世主になれるか。

写真=BBM
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