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巨人の育成右腕に衝撃 他球団が「ドライチで争奪戦レベルの投手」と高評価

 

長身から投げ下ろす150キロ


育成3年目の今季、支配下昇格が期待される京本


 支配下昇格に、最も近い存在と言っていいだろう。巨人の育成右腕・京本眞だ。

 高卒3年目の今季は春季キャンプで二軍スタートだったが、2月11日の紅白戦(宮崎サンマリン)に登板した際、自己最速を2キロ更新する152キロを計測。1回無安打無失点とアピールし、一軍に昇格した。一軍初の対外試合デビューとなった13日の韓国・サムスン戦は6点リードの9回から登板して1回無安打無失点。189cmの長身から投げ下ろす150キロの直球は球威以上の威力があった。

 他球団のスカウトは、「プロに入ってからの成長速度がすごい。明豊のときは長身のわりに器用さがあるという印象で、直球は140キロ前後とそこまでスケールの大きさを感じられなかった。素材を見抜いた巨人のスカウトと、現場の育成の賜物でしょう。フォームを少し変えて自分の持っている出力をボールに伝えられるようになり、球速が一気に上がった。20歳で大学3年生になる年ですが、ドラフト1位で争奪戦レベルの水準に達している。開幕前に支配下昇格はもちろん、先発ローテーション争いに割って入っても不思議ではない素材です」

昨季はファームで5勝


 大分・明豊高では2年秋からエースに。3年春のセンバツで準優勝を飾り、夏も甲子園に出場。1回戦・専大松戸戦に登板して5回途中3失点で降板し、深沢鳳介(DeNA)に完封負けを喫して全国制覇の夢は叶わなかった。同世代の小園健太(DeNA)、森木大智(阪神)、達孝太(日本ハム)、風間球打(ソフトバンク)はドラフト1位で入団したが、京本は育成7位で指名された。

 体づくりと並行してフォームの改良に取り組んだことで、眠っていた才能が引き出される。昨季はイースタン・リーグの先発ローテーションで回り、15試合登板で5勝4敗、防御率2.36と好成績をマーク。直球の球速はプロ入り後の2年間で10キロアップし、精度の高いチェンジアップ、打者のタイミングを外すカーブ、空振りを取れるスライダー、プロ入り後に習得したフォークと変化球が多彩で精度も高い。現在取り組んでいるツーシームも実戦で使える手ごたえをつかんでいる。

 昨年も支配下昇格を期待されたが叶わず。大きな刺激になる存在が、同期で育成6位入団の菊地大稀だ。大卒1年目の22年に支配下昇格すると、昨年は50試合登板で4勝4敗1セーブ11ホールド、防御率3.40をマーク。最速154キロの直球とスライダー、フォークのコンビネーションで三振奪取能力が高く、今季は「勝利の方程式」で期待される。

チャンスを与える阿部監督


 球界の歴史を紐解くと、千賀滉大(メッツ)、甲斐拓哉(ソフトバンク)、山口鉄也(現巨人二軍投手チーフコーチ)など、育成入団から球界を代表する選手に飛躍した選手たちがいる。巨人の育成入団から新人王、ゴールデン・グラブ賞を獲得し、「育成の星」と称賛された松本哲也(現巨人女子チームコーチ)は週刊ベースボールのインタビューで、入団当時をこう振り返っている。

「高校でも大学でも実績を残した選手ではないので、育成選手という契約を抜きに、技術的にも体力的にも一番下のレベルだと思っていましたし、実際に力が上の人ばかり。まずはキャンプで、その時点で持っている自分の力をアピールしなきゃいけないと。それだけでした。パンツの裾をたくし上げて、オールドスタイルにしたのも、それだけでも目立つかな? と思ったから。どういう段階でどの程度のところにいて……みたいな計画は立てられませんよね。どうせ一番ヘタクソなんで、失敗はしても別にいいやと」

 支配下昇格を目指す育成の選手たちはどん欲だ。阿部慎之助監督は若手に積極的にチャンスを与えていることから、京本は与えられた役割で結果を残し続ければ支配下昇格が現実のモノとなる。東京ドームのマウンドでその勇姿がみられる日は、そう遠くないだろう。

写真=BBM
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