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【大学野球】ドラフトの目玉・宗山塁をライバル視する早大遊撃手・山縣秀 「追い抜いてやろう、という強い思いがある」

 

早大守りのキーマン


早大の4年生・山縣は2年春にリーグ戦初出場を果たし、2年秋からレギュラー。通算37試合出場で3失策と鉄壁の守備力が武器だ[写真=BBM]


 早大は3月1日から16日まで沖縄の「ANA BALL PARK 浦添」でキャンプを張っている。2020年秋以来の天皇杯奪還を狙う上で、守りのキーマンは鉄壁の遊撃手・山縣秀(4年・早大学院)だ。

 2年春。運命的な日があった。早大は授業がある日は、朝から夕方までいくつかの班に分けた「時間別練習」を行う。メンバー、メンバー外関係なく、学生が時間を見つけ、グラウンドで汗を流す。小宮山悟監督は明かす。

「ショートが人手不足で、山縣が入ったんです。ノックを打つと、ミスショット……。ところが、俊敏な動きで難しい打球を処理しました。三遊間の打球も、何事もなかったかのようにさばく。身のこなしが素晴らしかった」

 埋もれていた才能だった。山縣は千載一遇のチャンスを生かし、2年春から守備固めで、25人のリーグ戦ベンチ入り。3試合で途中出場すると、2年秋には遊撃手の定位置を手にした。3年時は1学年上の熊田任洋(トヨタ自動車)が遊撃手に入ったため、山縣は二塁手として実戦経験を積んだ。決して、派手さはない。基本に忠実で、取れるアウトを、きっちり取る、まさしくお手本である。右打席からはしぶとい打撃を持ち味とし、現チームでは二番のつなぎ役として期待される。

 大学日本代表でもプレーした熊田が卒業し、山縣が本職の遊撃に戻った。「幼稚園の年長から、国分寺リトル、稲城シニア、早大学院を通じてずっとショート。あのポジションからの景色が好きなんです」。当初は早大学院でユニフォームを脱ぐ予定だったが「同級生の薗部将大から『一緒にやろうぜ!』と誘われまして……。やらないで後悔するよりは、やって後悔したほうが良いかと思い、大学でも野球を続けました。今年は学生野球最後。1回は優勝して卒業したいです」と意気込む。

「守りはできて当たり前。自分が先頭に立って、早稲田の守りのリズムを作っていきたい」

 打撃は昨秋以降、金森栄治助監督(元西武ほか)からの指導で、レベルアップを実感している。「昨秋にスタメンから外れることがあり、一から学んできました。コンパクトに、ミート中心。腕を伸ばさない。足と体幹を使う。小さく、強く、速く、です」。NPBでコーチ経験豊富な金森助監督の打撃理論を吸収し、確かな手応えを得ている。

 東京六大学の遊撃手には、侍ジャパントップチームに選出された明大・宗山塁(4年・広陵高)がいる。「ライバル」として見ている。

「宗山のことは意識していますし、注目もされている。自分は注目もされていない選手ですが、追い抜いてやろう、という強い思いがある。失策ゼロ。早稲田のレギュラーとして出場する限り、打率.350を目指したいです」

 MLBの遊撃手として活躍したホセ・イグレシアスが、理想の選手像だ。「プレースタイルが好き。カッコいいです」。職人気質が漂う山縣が早大のディフェンスを引き締める。

文=岡本朋祐
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