週刊ベースボールONLINE

大学野球リポート

【大学野球】目標は史上初の“春秋連続”三冠王 「圧倒していきたい」と意気込む早大のスラッガー・吉納翼

 

「やるしかないです」


早大の副将・吉納はストイックな性格。バットでチームを勝利に導く[写真=BBM]


 早大は3月1日から16日まで沖縄の「ANA BALL PARK 浦添」でキャンプを張っている。主将・印出太一(4年・中京大中京高)を支える副将・吉納翼(4年・東邦高)は必死の形相で練習を消化している。天候不良により、室内練習場でのメニューが続くが、モチベーションは常に最高潮である。

「限られた環境でいかに、自分自身と厳しく向き合えるか。年明け以降、1月、2月と個々がレベルアップに努め、キャンプはチームを編成していく上での『実戦重視』とも言われますが、個の技量を上げかないと、チームとして戦うことはできない。小宮山(小宮山悟)監督も言っていますが『強化』。自分を律して、いかに追い込めるかにかかっています」

 打撃練習から、吉納の集中力は違う。人を寄せ付けないオーラさえ感じる。ストイックだ。

「自分の体が覚えるまで、バットを振る。本数ではありません。1本の質。1球も無駄にできません。打撃ケージの中では試合を想定しながら、強く振ることを心がけています」

 今後、本格化していくオープン戦も「調整」ではなく「勝負の場」として位置付ける。かつて早大の打撃コーチとして指導を受けたOB・徳武定祐氏(元国鉄ほか)に、キャンプ前にLINEを送信して決意表明した。「このキャンプは、結果にこだわります」。東京六大学リーグ戦開幕は4月13日(対立大戦)。なぜ、この時期からエンジン全開なのか。

「結果を求めていく中で当然、失敗もある。あくまでも本気で挑まなければ、課題も見つからない。実戦で出た反省点を、練習でつぶしていく作業を繰り返す。ゲームに出れば、勝つだけ。最上級生なので、まずは結果で示し、下から認めてもらえるような存在にならないといけない。でければ、自分が言う発言にも、説得力が生まれませんからね」

 吉納の言動は「求道者」と呼ぶのにふさわしい。今春の目標は打撃3部門(打率、本塁打、打点)でトップに立つ三冠王だ。対戦5校との全カードで1本塁打を放ち、計5本塁打。持ち味の長打力で、試合の流れを変えていきたいという。しかも、史上初となる春秋連続での三冠王で「圧倒していきたい」と語る。チームの天皇杯奪還、日本一を実現させた上で「ドラフト1位指名」が理想の展開である。

「やるしかないです」

 今春から背番号1を着ける。1、2年時は蛭間拓哉(西武)、3年時は東邦高の先輩である熊田任洋(トヨタ自動車)が背負った。先輩2人は副将として、神宮で数字を残してきた。吉納も誰にも負けない練習量で培った卓越した打撃技術で、2020年秋を最後に遠ざかるリーグ制覇へと導いていく。

文=岡本朋祐
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング