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中田翔に匹敵する補強? 中日に新加入の強打者に「対応能力高い」指摘が

 

外野の一角を占められるか


ここまでオープン戦で8試合に出場し、21打数2安打、打率.095のディカーソンだが今後、日本球界に適応していくか


 今月6日のオリックス戦(京セラドーム)。チームで唯一の得点をたたき出したのは、四番・指名打者でスタメン出場した中田翔だった。1点を追いかける4回に、佐藤一磨の144キロ直球を左翼席に運ぶ同点ソロ。ダイヤモンドを一周する姿には貫禄が漂っていた。

 他球団のスコアラーは「中田はある程度イメージできる。実績のある選手ですからね。印象に残ったのが三番に入ったアレックス・ディカーソン。初回に逆方向の左前打を放ちましたが、打撃が柔らかい。変化球をうまくさばく雰囲気があります。メジャーでも打率3割近いハイアベレージを残していた時期がありましたし、対応能力が高いんじゃないですかね。日本野球に向いている選手だと思います」と警戒を強める。

 中日の外野陣は大島洋平岡林勇希細川成也ソフトバンクから新加入の上林誠知とタレントがそろっているが、岡林は2月23日のオープン戦初戦の広島戦(北谷)で右肩に訴えて途中交代。沖縄県内の病院で検査を受け、「右肩の炎症」で戦列を離れた。軽傷とみられるが、再発防止の観点からも無理をさせられない。上林も2月の春季キャンプ中旬に右肋間筋損傷」で戦線離脱。リハビリからの復帰を目指すことになった。三好大倫ブライト健太が控えるが、ディカーソンがオープン戦で結果を残せば開幕スタメンをつかむ可能性が十分にある。

印象に残る竜の助っ人左打者


神主打法を取りいれ快打を連発したゲーリー


 中日は近年、野手の外国人選手が活躍していない。昨年も中軸で期待されたアリスティデス・アキーノが20試合出場で打率.154、1本塁打、ソイロ・アルモンテが28試合出場で打率.189、1本塁打と期待外れの成績で退団した。左打者で活躍した助っ人も久しく出ていないが、印象に残る活躍を見せたのが1986年から中日で3年間プレーしたゲーリー・レーシッチだ。

 来日1年目に津田恒実(広島)、尾花高夫(ヤクルト)からサヨナラ本塁打を放つなど、36本塁打をマーク。パワーは大きな魅力の一方で打率.251、リーグワーストの105三振と確実性に課題を残した。翌87年に運命的な出会いが訪れる。ロッテからトレード移籍した落合博満だ。神主打法に魅入られたゲーリーは落合を尊敬して左打者でそっくりな構えに。同年は故障の影響で87試合出場にとどまったが、打率.317、24本塁打、54打点をマーク。51三振と前年から大きく減らし、落合、宇野勝と組むクリーンアップは破壊力抜群だった。「強竜打線」と相手球団から恐れられ、12球団トップの168本塁打を記録した。

 88年は打率.293、16本塁打、53打点で星野仙一監督のV1に貢献するが、本塁打が減ったことで評価が下がり同年限りで退団。「ナゴヤはボクの第二のふるさと。来年とはいわない。5年も10年も中日でプレーしたいよ」と語っていたが叶わなかった。

日本球界に溶け込む姿勢


 ゲーリー、来日9年目を迎えたダヤン・ビシエドに共通していることは日本の環境、文化に積極的に溶け込もうとする姿勢だ。ゲーリーは名古屋市内で見かけた破魔矢を気に入り、自室に飾るなど日本の生活を楽しんでいた。

 低迷期が続く中日で、救世主として期待されるディカーソンは幼少期より鳥山明原作のアニメ「ドラゴンボール」の大ファンだという。週刊ベースボールの取材にこう語っている。

「好きな野球選手はケン・グリフィーJr.とトニー・グウィーン、それとイチロー。(メジャーの試合で)彼が打ったフライが自分のところに飛んで来たんだ。世界一の選手を打ち取ったんだと感じた。シーズン200安打を何年も続けて、本当にすごいプレーヤーだよ。日本文化ではアニメの『ドラゴンボール』のキャラクター、ベジータが好きなんだ。もともと悪いヤツだったけど改心した。いいヤツかは分からないけれど、成長していった。その成長が素晴らしい。悟空も好きだが、ベジータの一面に共感できたんだ。ドラゴンズのユニフォームも気に入っている。ドジャースと似ていると指摘されることもあるけれどドラゴンズはドラゴンズだよ」

 33歳と円熟味を増した助っ人は異国の地で、ジャパニーズドリームをつかめるか。

写真=BBM
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