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西武の新外国人が大ブレーク予感 他球団「マルちゃんに似ている」警戒が

 

クレバーなスラッガー


四番としての活躍に期待がかかるアギラー


 助っ人野手がNPBで成功するのが難しい時代になっている中、西武に新加入したヘスス・アギラーが評価を高めている。

 昨オフに山川穂高ソフトバンクにFA移籍。新たな主砲として白羽の矢を立てたのが、アギラーだった。身長190センチ、体重125キロの巨体でメジャー通算114本塁打をマーク。18年にはブリュワーズで打率.274、35本塁打、108打点の好成績を残し、チームの地区優勝に貢献している。実績十分のメジャー・リーガーはクレバーだ。

 10日のDeNA戦(横浜)。1点を追いかける4回の2打席目に平良拳太郎のスライダーを左中間に運ぶオープン戦初アーチ。1打席目は見逃し三振に倒れたが球筋をしっかり見極め、次の打席できっちりコンタクトした。打撃だけではない。一塁の守備は軽快なフットワークを見せ、走塁も状況判断に優れて次の塁を狙う。他球団の首脳陣は警戒を強める。

「パワーがあるだけでなく柔らかい。強引に引っ張らず逆方向に打てるし、コンタクト能力が高い。変化球に対応できるし、内角のさばき方もうまい。打率も本塁打も残せるタイプだと思う。シルエットを含めてマルちゃんに似ているね」。

西武の連覇に貢献した助っ人


97、98年に西武で2年連続30本塁打を放ったマルティネス


 マルちゃんとは、90年代後半から00年代前半に西武、巨人でプレーしたドミンゴ・マルティネスだ。西武の来日1年目の97年に打率.305、31本塁打、108打点と大活躍。不動の四番として活躍していた清原和博が前年限りで巨人にFA移籍したが、マルティネスが補って余りある活躍を見せた。

 3年ぶりのリーグ優勝に貢献したこの年は、西武のターニングポイントになった。松井稼頭央監督は62盗塁で自身初のタイトルを獲得。大友進高木大成の3人がダイヤモンドを疾走し、チーム盗塁数はリーグ断トツトップの200盗塁を記録。鈴木健、マルティネス、佐々木誠がポイントゲッターになり、リーグトップの656得点をたたき出した。松井監督は週刊ベースボールのインタビューで、当時を振り返りながら理想のチームづくりに言及している。

「あのときは僕も出始めのころで、何度も守備でミスをしましたけど、本当に投手に助けてもらいました。東尾(東尾修監督)さんはもちろんですけど、投手に育ててもらったと言っても過言ではありません。例えばエラーをして西口(西口文也。現ファーム監督)さんに『すみません』と謝って。そのあとアウトに取って僕のミスを帳消しにしてくれましたから。だから、『何とか打たなアカン』『取り返さなアカン』と思って、打席では必死になりましたね。それの繰り返し。今も投手が若い野手を、野手が若い投手をカバーしていけば若手が育っていくはず。そこはチームなので、投手、野手関係なく、助け合いながら。そういう関係性であってほしいと思いますね」

V奪回の使者になれるか


 チームの変革期を支えたマルティネスの貢献度は計り知れない。翌98年も打率.283、30本塁打、95打点でリーグ連覇に導く。守備力がネックとなり2年間の在籍で退団となったが、優良助っ人だったことは間違いない。好調時と不調時の打撃フォームをビデオで見比べるなど緻密で繊細な一面があり、当時西武の土井正博打撃コーチは「こんな研究熱心な外国人選手は珍しい」と驚いていた。巨人でも99年から3年間プレー。清原と一塁の定位置争いで出場機会に恵まれない時期があったが、不満を一切言わずフォア・ザ・チームの精神に徹した。体重100キロを超える巨漢は愛くるしい笑顔がトレードマークになり、「マルちゃん」のニックネームで親しまれた。

 現在の西武は強固な投手陣を構築する一方で、得点力不足が課題となっている。5位に低迷した昨季はリーグワーストの435得点。だが、光は差し込んでいる。渡部健人長谷川信哉蛭間拓哉西川愛也山村崇嘉など若手が実戦経験を積んで頭角を現している。現有戦力に加え、アギラーと左の長距離砲として期待されるフランチー・コルデロが中軸で計算できれば、白星を積み重ねられる。

 西武は19年以来リーグ優勝から遠ざかっている。アギラーはV奪回の使者になれるか。チームの命運を握るキーマンであることは間違いない。

写真=BBM
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