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高橋周平が開幕スタメンも 打撃改造で他球団から「昨年までと別人」驚きが 

 

改造した打撃フォーム


今年1月に30歳となった高橋周。まだまだ老け込む年ではない


 チャンスは決して多くないが、必死でアピールして道を切り拓く。中日高橋周平が三塁の定位置奪取に向け、奮闘している。

 今年の春季キャンプはプロ13年目で初の二軍スタート。昨年は86試合出場で打率.215、0本塁打、14打点と入団後初のノーアーチに終わった。石川昂弥に三塁の定位置を明け渡す形になり、172打席は一軍に定着した18年以降で最少の数字だった。かつてはスター選手として期待されたが結果を残せなければ、月日の流れと共に立場が厳しくなる。岡林勇希細川成也と若手が次々にブレークし、今年の春季キャンプでは巨人から加入した中田翔が話題を独占した。このままでは終われない──。30歳を迎えた高橋周は意地がある。改造した打撃フォームで力強い打球を飛ばし、はい上がろうとしている。

 2月22日の練習試合・阪神戦で高卒2年目の成長株・茨木秀俊の変化球を振り抜き、打球は右翼席へ。コンタクトを重視した打撃に活路を見出した時期はあったが、今年のフリー打撃では右中間、左中間の深くに飛ばす打球が目立った。「六番・三塁」で今季初めてオープン戦に出場した今312日の西武戦(ベルーナドーム)では2回に平良海馬のカットボールを右前にはじき返すと、鵜飼航丞の投ゴロで二塁に進み、木下拓哉の右前打で本塁にヘッドスライディング。気迫あふれるプレーで先制点を奪った。7回にもボー・タカハシの145キロ直球に反応して中前打を放ち、マルチ安打をマーク。13日の同戦でも5回に甲斐野央のフォークを左翼線に運ぶ二塁打とバットが振れている。

指揮官が促す中堅、ベテランの奮起


 他球団のスコアラーは、「バットのヘッドを投手側に傾けた打撃フォームになり、打球の強さが昨年までとはまったく違う。別人のようですね。ヘッドが走っているから逆方向に打球が飛ぶし、タイミングの取り方もしっくりいっているように感じます。懐が深いので変化球にも崩されずヒットゾーンに運べる。立浪監督の現役時代の打法と重なります」と分析する。

 立浪和義監督と同じ右投げ左打ちで、15年から背番号「3」を継承。指揮官がマンツーマンで指導するなど期待が大きい選手だった。チームは変革期を迎えているが、若手の力だけでは巻き返しできない。立浪監督は今年3月に週刊ベースボールのインタビューで、「ちょっと勝負になるなという戦力にはなってきたと思います。野手も競い合うポジションが増えてきましたし、投手の使い方を含め、そういう戦力をしっかりと見極めて戦っていかないといけないと思っています。あとは若い選手を育てると言っても、そんなに毎年どんどん出てくるわけでない。1年に1人ぐらいですよ。昨年なら細川(細川成也)、一昨年なら岡林(岡林勇希)。でもチームというのは若手だけでは機能していかない。そこに中堅、ベテランが加わってこないと」と奮起を促していた。

「まだまだやれる選手」


 三塁のレギュラーは昨年自身初の規定打席に到達し、自己最多の13本塁打をマークした石川が本命だが、楽観視はできない。今年の春季キャンプは左膝痛の影響で二軍スタート。ノックで右手をついて右肘の痛みを訴えるなど故障がつきまとった。その後に一軍合流し、オープン戦8試合で24打数2安打、打率.083。16日の阪神戦(甲子園)で2回に左越えソロを放ったが、まだ本調子ではない。来日2年目のオルランド・カリステも三塁の定位置を狙っているが、高橋周も可能性は十分にある。

 このキャンプでは三塁だけでなく、二塁を守っていたが、昨季まで中日の内野守備走塁コーチを務めた野球評論家の荒木雅博氏は、「高橋選手は僕も気になっています。まだまだやれる選手ですし、やってもらいたい。ただ僕は二塁ではなく、三塁でもう一度、勝負してもらいたい。二塁の守備も確かにうまいですが、三塁は抜群にうまい。石川(昂弥)選手のためにも三塁で勝負して意地を見せてほしいです」と期待を込める。

 三塁でゴールデン・グラブ賞を2度受賞するなど守備能力の高さは申し分ない。打撃でアピールし続け、定位置争いの序列をひっくり返せるか。

写真=BBM
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