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【大学野球】関大・金丸夢斗が悪天候でも慶大相手に5回5安打無失点 スカウトも絶賛のピッチング

 

収穫多きマウンド


関大・金丸は慶大とのオープン戦で5回5安打無失点。悪天候の中でも結果を残した[写真=BBM]


「自信」が「確信」に変わった。

 関大の153キロ左腕・金丸夢斗(4年・神港橘高)は3月17日、慶大とのオープン戦で先発。試合前から冷たい雨が降り注ぎ、プレーボール後は一旦上がったが、再び、降り出し、厳しいコンディションだった。

「リーグ戦でも、こういう状況でやる可能性はあるので……。気になることはなかった」

 淡々とキレのあるボールを投げ込み、5回5安打無失点と、貫録の投球を見せた。与えた四球は1。「昨年の日本一チーム(慶大は明治神宮大会優勝)にどこまで通用するか、証明できた。真っすぐで抑えられたのはよかった」。収穫多きマウンドとなった(試合は3対3。慶大の6回表の攻撃終了で打ち切り)。

 金丸は井端弘和監督が指揮する侍ジャパントップチームに名を連ねた。欧州代表との第2戦(3月7日)で先発して、2イニングをパーフェクトに封じた。知名度は一気に全国区に。この日の慶大戦も、悪天候にも関わらず、多くの観衆が関大グラウンドに詰めかけた。

「自分のピッチングに集中する。周りのことは気にしません」とマイペースを強調。一度、侍ジャパンにピークを持っていったが「落とし過ぎずに、6〜7割ぐらい」と、この日のオープン戦に照準を合わせてきたという。

 5安打を浴びるも、失点は許さない。要所では三振を奪い、力で圧倒した(計6奪三振)。

「好打者を相手にいかに粘れるか。変化球が大事になってくる。とても勉強になった試合」

 最速149キロのストレートは、指のかかりが良く、伸びが抜群だった。この日はカーブを封印。スライダー、チェンジアップ、そして得意のスプリットで的を絞らせなかった。「大学トップチームが相手で、挑戦者の気持ちで投げた」。最終学年に悲願の「大学日本一」を目指す上で、慶大打線を封じ、確かな手応えをつかんだ。

「力は分かっている」


試合後、報道陣に囲まれる関大・金丸。侍ジャパンを経て注目度はさらにアップしている[写真=BBM]


 この日はNPB5球団7人が視察。中日松永幸男スカウト部長は「力は分かっている。悪条件の中でも、ストライクをしっかり取っていた。(開幕前の)この時期ですので、普通に投げてくれれば十分。ケガなく、春、秋のリーグ戦を投げてくれれば。真っすぐの強さ、変化球の精度。完成された投手です」と高評価を与えた。ソフトバンク稲嶺誉スカウトも「ストライク率が高い」と制球力を絶賛し「コンディションが厳しい中でも、非常に丁寧に投げていた。さすがです。この時期にしては上出来。順調にきている」と語った。

 関西学生リーグは4月6日に開幕。昨秋の優勝校・関大は京大と対戦する。関大は秋は21年から3連覇を遂げている一方で、春の優勝は1995年が最後。同リーグを制して、全日本大学選手権に駒を進め、大学日本一に挑戦する権利を得る。今後、金丸は開幕までに関東遠征を含め、3試合のオープン戦(法大、明大、大体大)に登板予定。春本番へ、ドラフト目玉左腕がピッチを上げていく。

文=岡本朋祐
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