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2年連続未勝利も…他球団が「2ケタ勝てる」と警戒する巨人の変則本格派右腕は

 

セにはいないタイプの投手


ソフトバンクから巨人に移籍した高橋。先発として力を発揮してくれそうだ


 頂点に上り詰めるチームは、期待以上の大活躍を見せるシンデレラボーイの出現がポイントになる。38年ぶりの日本一に輝いた阪神は大卒3年目の村上頌樹が10勝6敗1ホールド、防御率1.75でMVP、最優秀防御率、新人王のタイトルを受賞と大ブレーク。ソフトバンクで伸び悩んでいた大竹耕太郎も現役ドラフトで阪神に移籍し、12勝2敗、防御率2.26と自己最高の成績をマークした。2人で積み上げた貯金は14。エース格で期待された青柳晃洋西勇輝が好不調の波が激しかったことを考えると、村上と大竹の存在なくしてV奪回は成し遂げられなかった。

 阿部慎之助新監督の下で2年連続Bクラスから逆襲を誓う巨人は、戸郷翔征山崎伊織がエース格として計算できる。完全復活を目指す菅野智之、助っ人左腕コンビのフォスター・グリフィンヨアンデル・メンデス赤星優志と力のある投手がそろっている中、新天地での復活が期待されるのが、ソフトバンクからトレード加入したサブマリン右腕・高橋礼だ。春季キャンプから順調な仕上がりを見せ、実戦でも威力十分の投球で打者を差し込んでいた。3月10日の阪神戦(甲子園)で4回2安打無失点の好投。開幕先発ローテーション入りを勝ち取った。

 28歳という年齢を考えると、くすぶるのは早い。19年に12勝をマークして新人王を受賞したが、その後は投球フォームで試行錯誤して制球難に。22、23年と2年連続未勝利に終わった。ただ、昨季はウエスタン・リーグで21試合に登板し、7勝1敗1セーブ、防御率1.24と好成績を残しており、他球団のスコアラーはその実力を高く評価する。

「登板した試合を見ましたが、フォームが固まって制球も安定していました。一軍でのチャンスは少なかったが、躍動感あふれる良い状態に戻っている。サブマリンと言うと技巧派のイメージがあるのですが、高橋礼は直球が130キロ台と速い。140キロ台を出していた時期もありましたしね。ああいうタイプの投手はなかなかいない。対戦経験が少ないセ・リーグの打者は戸惑うと思います。シーズンを通じて本来の力を発揮すれば、2ケタ勝てる力は持っています」

巨人の優勝に貢献した移籍右腕


19年に15勝を挙げ、巨人の優勝に貢献した山口


 巨人が5年ぶりのV奪回を果たした19年。前年まで3年連続最優秀防御率に輝いた絶対的エースの菅野が11勝6敗、防御率3.89と安定感を欠いた中、奮闘したのがFA移籍3年目の山口俊だった。15勝4敗、防御率2.91と奮闘し、最多勝、最高勝率(.789)、最多奪三振(188)を獲得。17年は1勝、18年は9勝と期待に応えられなかったが、見事な活躍でリーグ制覇に貢献した。週刊ベースボールのインタビューで、こう振り返っている。

「(19年は)DeNA最終年の16年の感覚に近かったですね。こうしたいと思ったら全部できる感覚でした。例えばフォームがしっくりこないな、じゃあこうしようと思ったらうまくハマる。シーズン中も、ほかの選手の投球動画をランダムで見て『このカーブすごいなあ、どういうふうに投げているんだろう』ってマネしたら思いどおりに投げられて。打たれても明確に原因が分かるから修正できました。肩や肘が痛いときはどうしてもかばいますからね。自分のイメージしたとおりに投げているつもりでも、体が痛みに反応して映像を見ると全然違うフォームになっている。16年の最後に肩をケガして、完全な状態に戻るのに2年かかりました」

「(自身初めて経験したリーグ制覇は)個人タイトルの獲得とは全然違う喜びでした。チームスポーツなので首脳陣、選手、裏方さんを含めたチームスタッフ全員が優勝という同じ目標に向かってシーズンに入る。レギュラーじゃない選手も、調子が良くなかった選手も優勝すればみんなで喜べる。素晴らしい経験をさせていただきました」

 高橋礼が2ケタ勝利をマークし、貯金を作るパフォーマンスを見せれば、V奪回にグッと近づく。移籍初登板は開幕3戦目の31日・阪神戦(甲子園)に先発予定。リーグ連覇を狙う阪神に手強い印象を植え付けるためにも、重要な登板になる。

写真=BBM
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