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2024センバツ

【2024センバツ】スカウトの評価が最も高かった選手は? 投手は報徳学園・今朝丸裕喜、打者は豊川・モイセエフ

 

「フォームのバランスが優れている」


報徳学園高・今朝丸は188センチの長身からキレあるボールを投げる[写真=宮原和也]


 第96回選抜高校野球大会は第6日(3月25日)の第1試合で、出場32校がすべて登場した。甲子園のネット裏では12球団のNPBスカウトが視察。今大会の出場選手はどう見たのか、複数のスカウト幹部に話を聞いた。

 投手で最も評価が高かったのは、報徳学園高の151キロ右腕・今朝丸裕喜(3年)だ。日本ハム・大渕隆GM補佐兼スカウト部長は「今大会で一番、良い。フォームのバランスが優れている。(188センチの)角度があり、手足の長さを生かした投球ができる」と語った。ヤクルト・橿渕聡スカウトグループデスクは「こちらの目を引く投球を見せたのは今朝丸君と平嶋君。どこの球団も、評価していると思います」と話した。大阪桐蔭の154キロ右腕・平嶋桂知(3年)は、北海高との1回戦で今大会最速の149キロをマークして潜在能力を発揮した。

 次に熱視線を集めたのは阿南光高・吉岡暖(3年)。抜群の投球センスと、タテの変化球が評価されていた。八戸学院光星高の左腕・洗平比呂(3年)は投球フォームに定評があり、将来性の高さに注目。2年春から3季連続で勝利を挙げた広陵高・高尾響の完成度を評価するスカウトもいた。作新学院高の大型右腕・小川哲平(3年)は本来の力を出し切れず初戦敗退。スケール感があり、夏までチェックを継続していくとの声が聞かれた。

豊川高・モイセエフ・ニキータは野手のトップ評価を得た[写真=牛島寿人]


 打者では豊川高の外野手・モイセエフ・ニキータ(3年)がNo.1評価を得た。阿南光高との1回戦で大会1号。低反発の新基準の金属バットは、飛距離が出なくなっているが、その影響を感じさせない鋭いスイングを見せた。

 スカウト歴47年の超ベテランである広島苑田聡彦スカウト統括部長は「スイングに力があり、ボールを強くたたくことができる。タイミングの取り方を教えたら、良いバッターになる」と惚れ込んだ様子。大会第2号は神村学園高・正林輝大外野手(3年)が作新学院高との1回戦で右翼席へ放った。広島・苑田スカウト統括部長は「リストが柔らかい。今大会の1試合だけではなくて、どんな練習をするのかを見てみたい。視察していて楽しい選手です」と可能性の高さを示唆した。

「今宮のようになる可能性」


 捕手では健大高崎・箱山遥人(3年)の強肩強打が目立った。広陵高・高尾と息の合ったバッテリーを組む只石貫太(3年)のパンチ力を評価するスカウトもいた。内野手では中央学院高・颯佐心汰(3年)が野球センスの良さを披露。遊撃手からリリーフする姿に、ヤクルト・橿渕スカウトグループデスクは「遊撃手と投手をこなし、ソフトバンク・今宮のようになる可能性を秘めている」と目を光らせた。青森山田高の遊撃手・吉川勇大(3年)は木製バットで三塁打を放ち、好印象を残したスカウトもいた。大阪桐蔭高の一塁手であるラマル・ギービン・ラタナヤケ(3年)は規格外の飛距離に将来性を感じたスカウトもいた。

 外野手は大阪桐蔭高・境亮陽(3年)のスピードを武器とする攻守走3拍子が、高く評価されている。足と肩。2つの持ち味があるのは、大きなセールスポイントと言える。

 春のセンバツはシーズンインの公式戦で、高校生の「最終ジャッジ」は、まだ先である。春の都道府県大会、夏の地方大会と視察が続く。特に野手は今大会から新基準バットの導入で、各選手とも対応に苦慮していた。夏までには順応してくるはずだ。2024年は大学生に好選手が多い傾向にあり、社会人を含め、4月以降、スカウト視察は本格化していく。

文=岡本朋祐
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