週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

開幕戦白星発進の巨人 他球団が「一番伸びしろ感じる」警戒の強打者は

 

自分の間合いでフルスイング


2年目の今季、開幕一軍入りを果たした浅野


 巨人が3月29日の開幕・阪神戦(東京ドーム)で4対0の完封勝利。投打がガッチリかみ合い、最高のスタートを切った。

 開幕直前に新外国人のルーグネッド・オドーアが電撃退団したことは大きな反響を呼んだ。阿部慎之助監督は、オープン戦で打率.176と状態が上がっていないと判断。開幕二軍スタートを通告されたオドーアは納得がいかず、チームを去ったが、チームの絆はより強まったのではないか。熾烈な競争の中で結果を残せば、起用される。「一番・中堅」で新人では球団史上23年ぶりの開幕スタメンを勝ち取ったドラフト4位・佐々木俊輔は、象徴的な存在だろう。そして、この若武者も開幕一軍の切符をつかんだ。高卒2年目の浅野翔吾だ。

 2月の春季キャンプは故障班で迎えたが、焦らずにコンディションを上げていった。3月中旬に一軍合流すると、4試合出場で7打数1安打、打率.143。強烈なインパクトは残せなかったが、万全のコンディションでバットは振れている。外野の競争は激しい。29日の開幕戦は右翼・梶谷隆幸、中堅・佐々木、左翼・丸佳浩の布陣に。控えには大卒2年目の萩尾匡也、復活を目指す松原聖弥、ベテランの長野久義、俊足の重信慎之介が控える。浅野はベンチ入りのメンバーから外れたが、外野の3枠はレギュラーが固定されていない。チャンスを生かせば出場機会は増える。

 他球団のスコアラーは、こう評する。

 「巨人は生きのいい若手が多いが、一番伸びしろを感じるのが浅野です。高卒1年目からフルスイングしていましたが、なかなかできない。結果を欲しがって手先で操作したくなるものですが、彼は自分の間合いでスイングしている。早い時期に一軍で台頭してくると思います」

オールラウンドな選手に


 浅野の名前が全国区になったのは、2022年夏の甲子園だった。香川・高松商高の一番打者で3試合にスタメン出場し、10打数7安打で打率.700、3本塁打、6打点と大活躍。力強くしなやかな打撃は別次元だった。高校通算68本塁打を放った男はドラフト1位で巨人と阪神が競合。当たりクジを引き当てた巨人への入団が決まり、高校時代の恩師・長尾健司監督と週刊ベースボールで対談した際にこう語っている。

「見ている人は『ホームランを打ってほしい』とか『長打が見たい』と思うかもしれませんが、ジャイアンツにはほかにもホームランを打てるすごい選手がたくさんいる。自分がホームランを打たなくても、その選手にチャンスで回す、塁を埋めて回す。一番や二番を打つことができるようになったら、四番の岡本和真選手にランナー二塁で回す、ということを目標にしながら、状況に応じたバッティングをしていきたいと思っています。その中で、場合によってはホームランも打てて、ヒットも打てる、オールラウンドな選手になっていきたいです」

「どれだけ必死にできるかが大切」


 高卒1年目の昨年は、さまざまな意味でインパクトを残した。デビュー戦となった7月8日のDeNA戦(東京ドーム)。6回から途中出場すると、2打席連続の空振り三振。注目を集めてしまったのが7回の外野守備だった。宮崎敏郎の右中間への打球を追いかけた際に足を滑らせて転倒。二塁打としてしまった。ベンチで先発の菅野智之に謝り、頭を軽くたたかれ、周囲が笑顔に包まれた。苦笑いを浮かべた浅野にとってはほろ苦いデビュー戦となったが、想定外のパフォーマンスで話題になるあたりにスター性を感じさせた。もちろん、このままでは終わらない。8月18日の広島戦(マツダ広島)で、森翔平から左翼席にプロ初アーチ。24試合出場で打率.250、1本塁打、2打点をマークした。

 浅野は前出のインタビューで、自身の未来予想図を口にしている。

「1年目は焦らずに、自分で『出たい、出たい』ではなく、しっかり環境に慣れていきたいと思います。体づくりをしっかりして、寮の環境にも早く慣れて、2年目や3年目からしっかりレギュラー争いに入り込んでいけるようにしたいな、と。入寮してしまえば、ドラフトの順位は関係ない。どれだけ必死にできるかが大切だと思います」

 坂本勇人は高卒2年目に遊撃のレギュラーをつかんでいる。浅野も1年目の経験を糧に、一気に駆け上がれるか。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング