週刊ベースボールONLINE

大学野球リポート

【大学野球】明大・宗山塁がケガで出場機会はなくても…神宮で展開された「チーム宗山」

 

登録メンバー25人に名を連ねて


日立製作所との社会人対抗戦。この試合を欠場した明大の主将・宗山は、一塁ベンチで指示を送り続けた[写真=BBM]


「チーム宗山」が神宮で展開されていた。

 日立製作所との社会人対抗戦(4月3日)。明大の主将・宗山塁(4年・広陵高)はベンチ入りしたものの、出場機会はなかった(試合は日立製作所が3対2で勝利)。

 宗山は2月29日のオープン戦(対明治安田生命)で右肩付近に死球を受けた。井端弘和監督が率いる侍ジャパントップチームに招集され、欧州代表との強化試合(3月6、7日、京セラドーム)に向けて慎重に準備。5日の公式練習に参加したが、6日に右肩甲骨骨折の診断が発表された。宗山はそのままチームに帯同し2試合、ベンチで戦況を見守った。

 帰京後にあらためて病院で診察を受けると、同様の診断で「全治3カ月」。明大・田中武宏監督は本誌取材に「いないものとして、考えている」と、今春のリーグ戦欠場を示唆した。

 宗山は昨秋までにリーグ戦通算94安打を放ち、遊撃守備も鉄壁で「ドラフト1位候補」に挙がる。不動の「三番・遊撃」。試合には出られないが、主将としての仕事はある。宗山は自らオープン戦のベンチ入りを直訴。遠征も同行し、チーム本隊から離れることはなかった。社会人対抗戦も当然のように登録メンバー25人に名を連ね、神宮で初めて背番号10を披露。この日は試合前のシートノックに入り、軽快な動きを見せていた。

「(シートノックは)勝手にやっていますよ。好きにやっている。(私のほうから)『入れ!』とは言っていない。練習でも、入るたびに『止めたら……』と言っているんですが(苦笑)。全治3カ月と聞いていますので、(春は)いないものだと思っている。ボールをつかまえたときのフォロースルーで痛いみたいです」。打撃に少なからず、影響があるようだ。

明大・田中監督は「使うつもりはない」と、主将・宗山の春のリーグ戦起用についての見通しを、あらためて語った[写真=BBM]


 プレーをしなくても、主将の存在感は絶大だった。試合前の整列時、一塁ベンチから飛び出す際も「真っすぐ並ぼう!!」とナインに指示。ゲームが始まれば攻撃時、守備時に関わらず、1球1球に対して、声を出して鼓舞。自チームが守りから戻ってくれば、先陣を切って出迎え、円陣を指揮し、その後も声をかける。1試合、常に動き回っていた。チームリーダーの動きに、田中監督は目を細める。

「自分のチームだと思ってやっている。いろいろな指示をやってくれるので、こちらは楽です(苦笑)。ベンチワークはよくやってくれる。(登録25人から)外す選択肢はない。春のリーグ戦? 使うつもりはありません」

宗山が抜けた遊撃を守る人材


今春のリーグ戦、宗山の出場が難しい中で、遊撃手の穴を埋めるのは2年生の津田[写真]と光弘が、高いレベルで競争を繰り広げている[写真=BBM]


 宗山が抜けた遊撃は津田基(2年・近江高)、光弘帆高(2年・履正社高)がレギュラー候補。同じ右投げ左打ちで、シュアな打撃と安定感ある守備力が持ち味である。田中監督は「多少、津田のほうが、足がある。オープン戦は2人を併用しており、開幕まで争いになる」と期待する。この日「七番・遊撃」で先発した津田は第1打席で一塁内野安打を放ち、守備も無難にこなした。6回裏から出場した光弘は高校3年時に高校日本代表でプレーした実績があり、ハイレベルな競争が続く。

 東京六大学リーグ戦は4月13日に開幕。明大は同20日からの第2週、東大との開幕カードが組まれている。昨春以来のV奪還を目指す2024年のスローガンは「輪〜神宮を紫紺に〜」。主将・宗山がグラウンドでプレーできない中で、全部員が結集して戦いに挑む「チーム宗山」の真価が問われる春となる。

文=岡本朋祐
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング