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【高校野球】春季神奈川県大会の組み合わせ抽選会 出場80校の代表者が再確認した「心構え」

 

「新基準の金属バット」「二段モーション」


神奈川県高野連・榊原専務理事は春季県大会出場80校の代表者を前に、試合へ臨むにあたっての「心構え」を話した [写真=BBM]


 春季神奈川県大会の組み合わせ抽選会が4月4日、横浜市内で行われた。地区予選を勝ち抜いた80校の代表者が出席。主将、マネジャー、部員らがクジを引いた。大会は6日に開幕し、5月4日に決勝が行われ、上位2校が群馬県内で開催される関東大会へ出場する。

 組み合わせが確定したあと、県高野連関係者は試合会場の割り当てに入った。約30分の待機時間があり、神奈川県高野連・榊原秀樹専務理事から大会への「心構え」の話があった。

 まずは、試合に臨むにあたっての「コンディション調整」である。

「私たちの教育現場でも、インフルエンザ、新型コロナウイルスなど体調不良者が出ています。(昨年5月に新型コロナウイルス感染症の位置づけが)5類になって以降、大きなニュースにはなっていませんが、重篤者や命を落とされている方もいます。感染予防対策が、疎かになってはいけません。引き続き体調管理を徹底してください」

 次に、昨年からのルール変更点について2つ。今春のセンバツから完全移行された新基準の金属バットについて、見解を述べた。榊原専務理事は実際に、甲子園でゲームを見てきた。

「5メートル近く飛距離が変わるとも言われていましたが、見た限りでは飛ばない。打球が遅く、外野のポジションも浅めであり、走者二塁でも(ヒット)1本では生還できない。タイブレークになれば、確実にバントで送る。ただ、昨秋までと同じスタイルで、バントを使わなかったチームは、甲子園で勝てないケースも見受けられました。昨秋までの金属バットと同じ野球をしたのが悪いということではなく、結果として出なかった、と。木製バットを使用しているチームもありましたが、従来の高校野球とは、変わるかもしれない」

 次に今年から解禁された投手の「二段モーション」。審判員からのボークの適用について、細部までレクチャー。そして、1試合におけるマウンドに行ける回数。榊原専務理事は元高校球児、そして、横浜隼人高の野球部長を長く務めたキャリアがあり、身ぶり手ぶりで分かりやすく説明した。

 うれしい出来事があった。今大会は80校のうち、2チームの連合チーム(大和東高・横浜緑園高・横浜旭陵高、秦野曽屋高・二宮高)が地区予選を突破した。

「各学校でも苦労してチームを編成し、練習会場を転々としながらも、お互いに声を掛け合いながら、最後まであきらめず、勝ち上がってきました。立派なことだと思います」

 最後に「感謝」の心を持つことを話した。

「グラブは1個、7〜8万円もすると聞いています。新基準のバットは3万〜3万5000円。木製バットも2万8000円ほどする、と。高価な用具を使っている事実を、受け止める必要があると思います。保護者等のサポートで活動できることに感謝しないといけません」

大観衆の前でプレーできる感謝


 もう一つの「感謝」。神奈川の高校球児は多くの観衆の前でプレーできる状況下にある。

「(全国47都道府県で)神奈川は日本で一番、盛り上がる県です。昨年は春、夏、秋の県大会で年間約20万人の動員がありました。他県では考えられない数字。コロナ禍前は約25万人であり、ようやくお客さんが球場に戻ってきた印象です。一生懸命プレーすることが、多くの高校野球ファンの心をつかむ。結果として、世の中を明るくする。そういった環境でやれていることは、喜びだと思います。実際にグラウンドでプレーするのは選手です。(春、秋はベンチにいる登録選手25人だけでなく、スタンドの控え部員を含めて)指導者からの指示待ちではなく、自らで考えて動く習慣を身につけることが必要であると考えます」

 そして、最後に言った。

「神奈川県高野連は、部員をサポートするための組織。万全なコンディションで試合に臨むことができるように、最善の準備をします」

 大会が円滑に進行するのは、当たり前ではない。1試合を開催するには、大会運営に関わる役員、審判員、場内アナウンス、グラウンド整備のほか、多くの人々が携わっている。そして、対戦校がいなければ試合は成立しない。相手にリスペクトの心を持つことも大切だ。出場80校の代表者は抽選会で再確認した「心構え」を、自チームへと持ち帰った。

文=岡本朋祐
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