週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

史上最強の人的補償? 勝利の方程式を担う西武・甲斐野央に他球団「FA級の補強」

 

「8回の男」として機能


セットアッパーとして開幕からチームの力になっている甲斐野


 開幕2カード連続勝ち越しと好スタートを切った西武。4月5日の日本ハム戦(エスコンF)はサヨナラ負けを喫したが、好調を支えているのが自慢の投手陣だ。

 7試合で計12失点。1試合平均1.7失点に抑え込んでいる。エース・高橋光成が右肩の張りで出遅れた影響で開幕一軍を外れたが、今井達也隅田知一郎松本航平良海馬武内夏暉ボー・タカハシと先発陣が奮闘している。救援陣も水上由伸佐藤隼輔本田圭佑増田達至豆田泰志と能力の高い選手がそろっている。そして、勝利の方程式を担うのが新戦力だ。新守護神のアルバート・アブレイユにつなぐ「8回の男」がソフトバンクから移籍した甲斐野央。開幕から5試合連続無失点で、早くも4ホールドをマークしている。

 他球団のスコアラーはこう指摘する。

「甲斐野の加入が大きなプラスアルファになっている。ソフトバンク時代から能力の高い投手でしたが、西武で重要なポジションを託されたことで意気に感じているでしょう。FA移籍した山川穂高の人的補償で加入しましたが、実力を考えればFA級の補強です。甲斐野をマウンドに上げさせない試合展開にしたいですね」

大きな反響を呼んだ移籍


 救援陣の層が厚いソフトバンクでプロ1年目から活躍した。2019年に65試合登板で2勝5敗8セーブ26ホールドをマーク。20年は右肘痛で一軍登板なしに終わり、「右肘関節鏡視下関節形成術」の手術を受けた。21年以降は制球難で苦しんだ時期があったが、昨年は46試合登板で3勝1敗8ホールド2セーブ、防御率2.53をマーク。最速160キロの直球、150キロ超のツーシーム、140キロを超の高速フォーク、キレ味鋭いスライダーで三振の山を築く。明るい性格でムードメーカーとしてもナイン、ファンに愛されていた。昨オフにFAの人的補償で西武に移籍した際は大きな反響を呼んだ。

 甲斐野は移籍に関してソフトバンクを通じ、以下のコメントを発表した。

「今回僕を評価、指名してくれた西武球団にも感謝しています。チームの雰囲気が明るくファンの方も熱いイメージがありますので、ベルーナドームでプレーするのが今から楽しみです。最後にホークスファンの皆さんにも感謝を伝えたいです。良いときも悪いときも声援を送ってくれ、福岡の街を歩いていてもよく声をかけてもらいました。ケガから復帰したときにマウンドで受けた声援はずっと忘れません。今後のホークス戦でも、こっそり僕だけ応援してほしいです。これからも野球人としてやるべきことは変わりませんので、ブレずに自分らしく頑張っていきたいと思います」

誰とでも気さくに接する性格


 西武の首脳陣はV奪回に向け、甲斐野を必要不可欠な戦力と考えている。新天地での起用法が、期待の大きさを物語っていた。3月29日の開幕戦・楽天戦(楽天モバイル)で、1点リードの8回に移籍後初登板。二死一、二塁のピンチを作ったが、小深田大翔を138キロのフォークで空振り三振に仕留めて初ホールドをマークした。その後も緊張感あふれる試合展開での登板が続く。本拠地初登板となった4月2日のオリックス戦(ベルーナ)で1点リードの8回に登板した際は大歓声が。無安打無失点に抑え、3日の同戦でも3ホールド目をマーク。開幕から5試合連続無失点と順調なスタートを切った。

 誰とでも気さくに接する性格で西武にすっかり溶け込んでいる。鉄腕として救援陣を支える平井克典は、週刊ベースボールの取材で甲斐野についてこう語っている。

「あれはヤバい(笑)。マジでエンターテイナーですよ! 人前だとふざけて、『みんなの喜ぶことをした〜い』という感じですが、野球になったらまた違って。僕らの感覚で言ったら、とんでもないボールを投げるので正直、『能力だけでやってきたんだろう』と思ってたんですよ。『自分のボールを投げれば抑えられる』というタイプかなと思ってたら全然違って、すごく細かく考えるタイプ。超意外でした。能力以上にものすごく野球のことを考えてる。まさに“ギャップ萌え”です。キャンプ初日から『何年前から西武にいるの?』ってくらいなじんでて、僕が担ってきた『うるさい!』と言われる“口番長”の座は甲斐野に譲りました(笑)。いい後継者が見つかりました!」

 豪快で緻密、大胆かつ繊細な投球スタイルで自分の芯がぶれない。これからも西武を勝利に導くため、右腕を振り続ける。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング