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【大学野球】堂々デビューの1年生右腕 早大・安田虎汰郎の理想は昭和の“往年エース”たち

 

ピンチでも冷静なピッチング


早大の1年生・安田は1対1の8回表から救援。得点圏のピンチでは得意のチェンジアップを多投し、後続を抑えた[写真=矢野寿明]


【4月13日】東京六大学リーグ戦(神宮)
早大3-1立大(早大1勝)

 開幕戦は1点をめぐる攻防。1対1の7回裏、早大・小宮山悟監督は好投を続けていた先発右腕・伊藤樹(3年・仙台育英高)に代打を送った。8回表から二番手としてリリーフを託したのは、リーグ戦初登板の1年生・安田虎汰郎(日大三高)だった。充実のブルペン陣。ベンチからの信頼の証しである。

 安田は先頭打者に四球を与え、犠打で一死二塁。しかし、百戦錬磨のルーキーは慌てない。

 昨夏は名門・日大三高のエースとして甲子園出場へ導き、2勝を挙げて、3回戦進出。高校日本代表としてプレーしたU-18W杯(台湾)では、初の世界一に貢献した。

 得点圏のピンチも、落ち着いて後続2人を抑えた。「(主将で捕手の)印出さん(太一、4年・中京大中京高)が、自分が自信をもっている球をいっぱい投げさせてくれて抑えられました」。最も得意であるチェンジアップを多投し、立大打線を圧倒した。

リーグ戦初登板初勝利の安田[左]と8回裏、二ゴロ野選で勝ち越し打の主将・印出[右]は笑顔を見せる[写真=矢野寿明]


 その裏、早大は無死一、三塁から主将・印出の二ゴロ野選で三走が生還して勝ち越し。さらに、犠飛で1点を追加した。9回裏は左腕・香西一希(2年・九州国際大付高)と初登板の1年生右腕・高橋煌稀(仙台育英高)のリレーで、2点差を逃げ切った。

 1イニングで12球を投じた安田が、うれしいリーグ戦初勝利を挙げた。開幕戦での1年生勝利投手は、2007年春の東大1回戦で先発した斎藤佑樹(元日本ハム)以来、17年ぶりの快挙であった。日大三高時代から慣れ親しんだ神宮のマウンドであるが「大学野球の雰囲気は、それ以上に恐ろしいものというか、また違うことがある」と明かした。

 そして、1年生らしい初々しいコメントである。「早稲田のピッチャーとして、神宮のマウンドに立てるということは幸せなこと。その喜びを噛みしめた」。安田が理想とする投手は小山正明(元阪神ほか)、村山実(元阪神)、稲尾和久(元西鉄)と昭和の往年のエースの名前を挙げる。安田は「野球マニア」を自称しており、1901年創部の早大でプレーする意義も当然、心得ている。「学生野球の父」と言われ、早大の初代部長・飛田穂洲が残した「一球入魂」を体現する。マウンドで熱きハートを醸し出す、大物新入生だ。

文=岡本朋祐
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