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ポスト山本由伸は日本ハムドラフト8位右腕? 他球団から「モノが違う」

 

驚異的な奪三振率


大卒3年目を迎えた北山。投手としての能力は高い


 日本ハムの先発ローテーションで最後の枠を勝ち取ったプロ3年目の北山亘基が、2試合の登板で強烈なインパクトを残している。

 今季初登板となった4月3日の楽天戦(エスコンF)で、7回一死まで走者を一人も許さない完全投球。150キロ台の直球にフォーク、カーブ、チェンジアップと変化球の精度も高く大記録達成を予感させた。7回途中に失点を許して降板したが、2安打10奪三振1失点とほぼ完ぺきな内容だった。

 11日のソフトバンク戦(北九州)は狭い球場に加えて雨が降りしきる悪天候で、初回に山川穂高に適時打を浴びて同点に追いつかれると、2回も2点を奪われた。3回まで73球を要したが、4回以降は修正能力の高さを見せる。ワインドアップからセットポジションに変更したことで制球が改善。6回途中まで走者を一人も許さず、3安打10奪三振3失点で降板した。6回を投げ切れなかったことに悔しさをにじませたが、試合をつくったことは合格点をつけられる。2試合で12回を投げて計20奪三振。奪三振率15.00は驚異的な数字だ。

まだまだ伸びしろ十分


 他球団のスコアラーは、「ソフトバンク戦は立ち上がりを見たらボールを操れず大量失点を喫しても不思議ではなかったが、きっちり立て直した。ミート能力が球界トップクラスの近藤健介から2つの三振を奪ったように、球の質で言えば他の投手とモノが違う。直球にスピンが利いていて、打者に聞くと球速以上の速さを感じる。まだまだ伸びしろ十分ですし、底が知れない感じがします」と警戒を務める。

 京産大からドラフト8位で日本ハムに指名された際は、指名漏れが頭をよぎって安堵の涙を流した青年が2年半の月日を経て、加速度的に進化している。新人の一昨年はソフトバンク戦の開幕投手にサプライズ抜擢され、2回無失点と期待に応えた。その後は守護神、セットアッパーで最後まで一軍で稼働し、チーム最多の55試合登板で3勝5敗9セーブ16ホールド、防御率3.51をマーク。昨年は主に先発で14試合登板し、6勝5敗、防御率3.41の成績を残した。

一番の武器は「考える力」


 飽くなき向上心で、現状に満足しない。不安定な制球を改善するため、垂直に立ってから左足をすり足で踏み出す新たな投球フォームの改造に踏み切った。山本由伸(ドジャース)を彷彿とさせるフォームだが、決して模倣しているわけではない。「自主トレ先で、お世話になっている先生が(山本由伸と)一緒なので取り組みやトレーニングの内容から(フォームが)似てくる部分はあると思うけど、僕自身は僕自身。自分のものにできるように」と真意を明かしていた。

「教授」という愛称で親しまれる北川の一番の武器は「考える力」だろう。アマチュア時代からトレーニングやコンディショニングの知識を学び、さまざまな取り組みを敢行してきた。北山は新人の22年に週刊ベースボールのインタビューで、研究する姿勢について聞かれて以下のように語っている。

「もともとの性格なんでしょうが、小さいころから物事の本質を見極めたいというか、そういう気持ちはありました。表面的な部分だけを見ないような考えがあったんです。例えば、野球に関しても『その日がよかったからOK』じゃなくて、『なんでよかったのか?』と考えてみたり。何事にも原因があって、結果があるものですから。それをしっかりと把握しないと気持ちが悪いんです」

 超一流の投手になる投手は、目指す理想が高いと同時に情報を取捨選択して技術を高める能力が高い。北山は「3年後は日本を代表する投手になっていたいですね。先発とリリーフのこだわりはないのですが、投手として一番目指すべきところは、9回を投げ切って、完封できる投手だと思っています。現在なら完全試合をやってのけたロッテ佐々木朗希投手や、オリックス・山本由伸投手。ゼロを並べて1人で投げ切れる投手が究極だと思います。クローザーであったとしても、それくらいできる容量を持った投手が理想です」と語っている。

 2年連続最下位からの巻き返しを狙う日本ハム。下克上に向け、北山が白星を積み重ねられるか。チームの命運を握る右腕と言ってよいだろう。

写真=BBM
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