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【大学野球】2カード連続で勝ち点を落とした立大 木村監督の指導方針が浸透…今こそ我慢のとき

 

気持ちが乗った投球を見せた沖


立大は法大1回戦で先勝しながら2、3回戦を連敗。開幕カードの早大戦に続いて1勝2敗で勝ち点を落とした[写真=BBM]


【4月22日】東京六大学リーグ戦(神宮)
法大4-1立大(法大2勝1敗)

 東京六大学リーグ戦は2勝先勝の勝ち点制で、天皇杯が争われる。立大は第1週の早大戦で、1回戦を1対3で落としてから、2回戦は3対1で雪辱。しかし、3回戦は1対7と大敗を喫して、勝ち点を落としている。

 早大3回戦から中4日で、第2週は法大戦が組まれた。1回戦は右腕・小畠一心(3年・智弁学園高)がリーグ戦初勝利を初完封(1対0)で飾った。2回戦は1対2で惜敗。勝ち点をかけた勝負の3回戦で、先発を任されたのは右腕・沖政宗(4年・磐城高)だった。

 定石ならば、3回戦の先発は中1日の小畠が予想されたが……。今春から母校を指揮する木村泰雄監督は、先発起用の経緯を明かした。

「早稲田戦は中1日。土曜日と月曜日で先発し、今週も1回戦で132球を投げている。(法大3回戦は)後ろで長くても4イニング。本人は行く気満々だったようですが、2週連続で無理はさせられなかった。沖もしっかりと試合をつくってくれました」

 沖には、雪辱の思いが強かった。2回戦では1対1の7回表から三番手で救援も、勝ち越し適時打を浴びて、無念の敗戦投手となった。

「昨日は自分のせいで負けていたので、3回戦を勝つ上で、(1回戦では)小畠も頑張ってくれていたので、3回戦は自分がどんな形でも投げるつもりでいました」

沖は今季初先発。4回1失点と試合をつくり、4年生の意地を見せた[写真=BBM]


 沖は1回裏にソロアーチを浴びたものの、2回以降は魂の投球を披露。立大は4回表に四番・丸山一喜(2年・大阪桐蔭高)の適時打で追いつく。4回裏は法大のクリーンアップを三者凡退に抑え、気持ちが乗っていた。

 5回表二死二塁の好機で、打順は沖に回った。木村監督は代打を送るも、勝ち越しはならなかった。「沖は良い投球をしていたので、まだ投げてもらいたかったですが……。チャンスで勝負に出ましたが、一つのポイントになった」。5回裏に代わった二番手・塩野目慎士(4年・足利高)が決勝3ランを浴びた。攻めていった結果で、こればかりは仕方ない。

「負けていい試合はない」


1点を追う4回表に四番・丸山が同点タイムリー。残り3カード、主砲のバットがカギを握る[写真=BBM]


 1対4。立大は力及ばず、勝ち点を落とした。6試合で8得点。早大3回戦から4試合連続で1得点。チーム打率.177と打線の低調が気がかりである。木村監督は「なかなか連打が出ない。長打も出ない。次戦に向けて考えていかないといけない」と前を向いた。一方で投手陣は、それぞれが持ち味を発揮している。沖は「監督には信頼を置いていますし、与えられたポジションを全うする」と、投手陣全体で共有されている。法大2、3回戦は先発投手以降、1イニングずつをつなぐ小刻みなリレー。守りは1失策と鉄壁であり、攻撃陣が上向けば十分、勝負できる。残り3カード。沖の言葉が、すべてを凝縮していた。小学校時代から東京六大学にあこがれ、進学校・磐城高から指定校推薦で立大へ進学。東京六大学リーグで戦う意味を、熟知している。

「(5校と対戦する)対抗戦という意味では、負けていい試合はない。苦しいところではありますが、気持ちを切らさず、一から頑張っていきたいです」

 2024年のスローガン「結束」を掲げるチームは、周囲から「応援される野球部」を目指している。主将・田中祥都(4年・仙台育英高)を中心に、明らかに戦う姿勢が変わった。ベンチは活気があり、キビキビしている。当たり前のことを当たり前にする、木村監督の指導方針が浸透。今こそ、我慢のときである。

 第4週、5月4日からは慶大とのカードが組まれている。立大は2018年秋の2回戦で勝利して以降、4引き分けを挟んで19連敗中。慶大からの勝ち点は、16年春が最後である。毎年、メンバーが変わる学生野球に「苦手意識」という表現はふさわしくないかもしれないが、記録としてあるのは事実。第3週の立大は空き週。心身ともリフレッシュさせ、残る3校との対抗戦で、勝ち点3を目指していく。

文=岡本朋祐
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