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阪神・ゲラに大当たり助っ人の予感…他球団から「スアレス級の守護神」

 

キレ味抜群のスライダー


阪神リリーフ陣の中で存在感を発揮している新外国人・ゲラ


 2つの引き分けを挟み6連勝中で首位をキープしている阪神。その原動力が強固な投手陣だ。負けがない最近の8試合で計6失点と1試合の平均失点は1点を下回る。救援陣の防御率1.10はリーグトップ。中心として支えているのが、新外国人右腕のハビー・ゲラだ。

 開幕から11試合に登板して3セーブ6ホールド、防御率0.82。4月11日の広島戦(甲子園)で来日初黒星を喫した登板以外に失点を許していない。岩崎優とダブルストッパーを務め、チームに不可欠な存在になっている。23日のDeNA戦(横浜)では1対1の9回に登板すると、牧秀悟宮崎敏郎に連打を浴びて一死二、三塁とサヨナラのピンチを迎えたが、ここで底力を発揮する。伊藤光をフルカウントから146キロのスライダーで空振り三振、山本祐大も145キロのスライダーで遊ゴロに仕留めて無失点に。ガッツポーズを見せると、冷静な表情を取り戻して三塁ベンチに戻った。

 他球団の首脳陣は、「直球はもちろん速いが、それより厄介なのがスライダー。指に掛かると鋭く横滑りする。あれだけ変化する投手はなかなかいない。球速が140キ台後半と速いので途中まで直球と見間違う。制球もまとまっているので打ち崩すのが難しい。まだ28歳と若いし、日本野球でスアレスみたいに大化けする可能性が十分にある」と警戒を強める。

指揮官も絶賛する実力


 160キロを超える剛速球が武器で、メジャー5年間で通算61試合に登板。63イニングで43四球と制球に不安を抱えているという触れ込みだったが、来日するとそのイメージが覆される。丁寧に低めを突き、四球で崩れる心配がない。外国人投手はフィールディングが苦手なタイプが多いが、ゲラは違った。2018年までは遊撃でプレーしていたという異色の経歴で打球処理が素早く、牽制も巧い。岡田彰布監督は開幕前、週刊ベースボールのコラムで高い評価を口にしていた。

「正直、想像以上の実力派投手。外国人投手特有の荒々しさがなく、とにかくシャープなんよね。ボールを低めに集める。コントロールのよさを示したし、スピードも150キロを軽く超せる。投げる以外のけん制であったり、フィールディングであったりも見事で、クローザーも十分という手応えはある。岩崎(岩崎優)という安定したクローザーにゲラを加えてのダブルクローザー。これも考えているし、相手との兼ね合いでの使い分け。これができるのは大きな武器になると思っているわ」

頭脳明晰でクレバーな姿勢


2年連続で最多セーブを獲得するなど阪神の守護神に君臨していたスアレス


 助っ人守護神として、印象深いのがロベルト・スアレス(現パドレス)だ。ソフトバンクではトミー・ジョン手術を受けるなど紆余曲折を味わったが、20年に阪神に加入すると2年連続最多セーブ投手に。21年は62試合登板で1勝1敗42セーブ、防御率1.16と圧巻の成績を残した。

 スアレスは自信がみなぎった表情でマウンドに上がっていた。週刊ベースボールのインタビューでその理由を聞かれると、「いつも同じ気持ちでマウンドに上がっていますからね。常に自信を持って平常心でという感じです。そう思うことが大事ですし、その中でバッターを支配できるような、メンタルが必要なので……それが今年1年間続けてできたのかな、と思います。ヒジや肩をケアすることでスピードアップにつながった」と語っている。

 最速163キロの直球を武器に三振の山を築く豪快な投球とは裏腹に、頭の中は常に冷静だった。

「打たれたときには、すぐに気持ちを切り替えて投球のプランを変えるということが大事ですね。まず、次に何をすることが一番いいのかを見極めていきます。例えば、ここはゲッツーを狙いにいったほうがいい、とか三振を奪いにいこう、などです」

「落ち着いて、しっかり何をすべきか考えて、さらにポジティブにいくことが大事なのかなと感じています。また今の投球でのメカニックはどうだったかなと思い返す場面でもあります。それは次への投球につながるので、そこも大事にしています」

 頭脳明晰でクレバーな姿勢は、ゲラにも重なる。大当たり助っ人の予感を漂わせる右腕の投球に要注目だ。

写真=BBM
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