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他球団が徹底マーク…大山悠輔、佐藤輝明より怖い「阪神の強打者」は

 

強い精神力のスラッガー


4月26日のヤクルト戦でリーグトップに並ぶ5号本塁打を放った森下


 他球団が「阪神打線で最も怖い打者」と警戒を強めているのが、三番を担う森下翔太だ。

「甘く入ったらスタンドに運ばれる怖さがあるのが一番。プラス選球眼がいい。長距離打者にありがちな振り回す打撃スタイルでなく、ボール球になる変化球に手を出さない。チャンスに強いしスター性がありますよね。森下が打つと阪神の打線全体が勢いづく。四番の大山悠輔、五番の佐藤輝明が本調子でない今、一番神経を使う打者ですね」(セ・リーグのスコアラー)

 好機で打席が回ってくると、表情が生き生きしているように見える。メンタルが強いのだ。今季は開幕カードの巨人戦(東京ドーム)で2連敗を喫し、3戦目も0対0と息詰まる投手戦が続く中、森下のバットがチームを救った。開幕から無安打が続いていたが、8回二死一、三塁でセットアッパー・中川皓太の直球を振り抜いた打球は左中間の最前列へ。決勝弾となり、「自分たちは連覇に向かっていくだけだと思っているので、まだまだここから勝っていきたいなと思います」とお立ち台で力強く宣言した。4月27日のヤクルト戦(甲子園)では、1点差に迫られた7回に再び2点差に突き放す左前適時打。貴重な一打で勝利に導いた。

ミスをしてもやり返す


 プロ1年目の昨季は94試合出場で打率.237、10本塁打、41打点。数字以上に活躍した印象が強いのは、殊勲打が多いからだろう。印象深かったのは新人記録の7打点を記録した日本シリーズのオリックス戦だ。第5戦の1点差を追いかける7回、二死一塁から森友哉の二ゴロを中野拓夢が後逸。カバーに入った右翼の森下は素手で捕球を試みたがつかみ損ねている間に、一塁走者・宗佑磨が本塁生還して2点差に。阪神ファンで埋まった甲子園は静まり返ったが、森下はすぐに取り返した。1点差に迫った8回一死二、三塁の好機で打席に入ると、宇田川優希の152キロ直球をすくい上げ、打球は左中間を割った。2点が入る逆転適時三塁打に塁上で喜びを爆発させた。

 今季も日本シリーズに似たシチュエーションがあった。4月24日のDeNA戦(横浜)。7回の守備で打球を後逸してリードを2点差に広げられ、8回も関根大気の打球で目測を誤り、二塁打に。雨が降りしきる悪天候とはいえ、手痛いミスが続いた。だが、ここでも気持ちをきっちり切り替える。2点差を追いかける9回無死満塁で相手守護神・山崎康晃から押し出し死球で1点をもぎ取り、逆転勝利の流れをつくった。

2リーグ制以降、阪神で5人の本塁打王


 セ・リーグの本塁打王は岡本和真(巨人)、村上宗隆(ヤクルト)が20年以降タイトルを獲得してしのぎを削っているが、今年は森下が割って入る可能性がある。26日のヤクルト戦(甲子園)は4回二死で、小川泰弘の直球を左中間席へ運ぶリーグトップタイの5号ソロ。チームは敗れたが、10試合連続安打と上昇気流に乗っている。春先は1割台だったが、打率.259まで上がってきた。

 阪神で本塁打王を獲得した選手は1950年以降の2リーグ分立以降、藤村富美男藤本勝巳田淵幸一掛布雅之ランディ・バースの5人のみ。掛布は3度、バースは2度と複数回獲得している。本拠地が広い甲子園で本塁打王を獲得することは至難の業だ。ほかの球場ならスタンドインする打球が、甲子園では外野フライに終わるケースを何度も見てきた。森下が5号アーチを放った試合でも、9回に先頭打者で木澤尚文のカットボールにアジャストし、左翼へ大飛球を放ったがスタンドに届かず左飛に倒れた。狭い球場なら間違いなく本塁打だっただろう。

 昨季アーチを打った試合は8勝1敗と大きく勝ち越し。今季も3勝2敗と白星が先行している。勝負強い打撃で「四番待望論」も。昨季38年ぶりの日本一に大きく貢献した大山が四番に座っているため、その座をつかむのは容易ではないが、中大で2学年上の牧秀悟(DeNA)はプロ2年目の22年に開幕から四番に座っている。2年目の選手が四番に座るのは桑田武以来球団史上62年ぶりだったが、重圧を力に変えて打率.291、24本塁打、87打点をマーク。36本の二塁打はリーグトップだった。森下はこの数字にどこまで迫れるか。飛距離でいえば牧をしのぐ素材だけに、30本塁打をクリアできる可能性を十分に秘めている。

写真=BBM
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