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ドラフト9位から大出世…「侍ジャパンの正捕手」狙えるDeNAの成長株は

 

不動の正捕手を狙う今季


球界を代表する捕手への道を歩み始めている山本


 今、最も輝いている捕手の一人と言ってよいだろう。DeNA山本祐大だ。

 強肩と配球に定評があり、昨年は東克樹が登板した全24試合でバッテリーを組んだ。東は16勝3敗、防御率1.98で自身初の最多勝、最高勝率を獲得したが、「祐大のおかげです」と毎回感謝を口にしていた。東と最優秀バッテリー賞に輝き、規定に未到達だったが盗塁阻止率.455と高い数字を残した。課題の打撃でも71試合出場で打率.277、3本塁打、16打点と急成長。今年3月には欧州代表との強化試合に臨む侍ジャパンのメンバーに初選出された。不動の正捕手の座を狙う今季はさらに成長した姿を見せている。

 今季は24試合中18試合で先発マスクをかぶり、投手陣の良さを引き出すことに注視している。バットでの貢献度も高い。4月2日の阪神戦(京セラドーム)では、昨季のMVP右腕・村上頌樹から満塁の走者一掃の適時三塁打。ファウルで粘った末に9球目の直球を右中間に運び、来日初勝利を飾ったアンドレ・ジャクソンを攻守で援護した。9日の中日戦(横浜)でも1点ビハインドの2回に、小笠原慎之介のチェンジアップを左中間にはじき返す同点適時二塁打。前カードの広島戦で3試合連続零封勝利を飾っていた中日の無失点記録を止めた。打率.293をマークし、得点圏打率.333と勝負強さが光る。

高卒後、独立リーグへ


 アマチュア時代から順風満帆な道のりだったわけではない。京都翔英高では同学年の石原彪(現楽天)が正捕手を務めたため外野手に。3年夏はクリーンアップに座り甲子園に出場したが、初戦の樟南高に1対9で敗れた。

 当初は大学に進学予定だったが、目標のNPBでプレーするため、高いレベルの環境を求めて2017年にBCリーグの滋賀に入団。正捕手の座をつかむと、56試合出場で打率.294、2本塁打を記録し、DeNAにドラフト9位で指名された。BCリーグ加盟球団に所属する高卒1年目の選手がドラフトの支配下で指名されたのは史上初だった。

打者を抑えるために重要視している点


 一軍で頭角を現すようになったのはプロ4年目の21年。試合の最後までマスクをかぶった試合は15勝4敗1分という好成績を残した。打撃で試行錯誤を繰り返していたが、昨年にコンタクト能力が格段に上がったことで、正捕手争いで一歩リードする存在に。山本は今年4月に週刊ベースボールのインタビューで、相手打者を抑えるために重要視している点を聞かれて以下のように答えている。

「いろいろな要素がありますけど、僕が重要視しているのは、ピッチャーのボールの良さと打者の反応。一番は投手のボールですかね。ただ、状況によっては打者の苦手なところを攻めないといけないなど、ほかの要素が越してくることもあります。基本的な割合で言えば投手のボールの良さが5〜6割くらいを占めています。3割ぐらいは打者の反応を見ていて、残りがデータです。データだけでやることは少ないのかなと思います」

「データももちろん頭には入れますし、毎試合取っていますけど、それはもう頭の片隅です。自分が本当に困ったときや、何もできなかったときに活用しようと。臨機応変に対応できなくなったときが一番バタバタするので、自分を助けるものとして位置付けています。もちろん投手がどういったピッチングをしたいなど、毎日ミーティングで確認することもデータの一部だと思うので、ボールの良さもデータと言えるかもしれません」

DeNAの前身・横浜で正捕手としてチームを率いた谷繁


 強いチームには要となる捕手がいる。DeNAの前身・横浜では谷繁元信がグラウンド上の司令塔として稼働し、1998年に38年ぶりの日本一に大きく貢献した。その谷繁が02年に中日にFA移籍すると、正捕手を固定できない期間が続いた横浜は10年以上の低迷期に。谷繁は中日で4度のリーグ優勝を経験。両球団の明暗が分かれる形となり、あらためて捕手の重要性を知らしめた。

 25歳と伸び盛りの山本が谷繁のような球界を代表する捕手に成長すれば、DeNAが常勝軍団になる可能性が十分にある。侍ジャパンの正捕手も狙える成長株に要注目だ。

写真=BBM
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