週刊ベースボールONLINE

大学野球リポート

【大学野球】ドラフト1位候補の明大・宗山塁が向き合う2つの苦悩

 

2カードを終え5試合で打率.174


明大の主将・宗山は悔しそうな表情を浮かべる。早大戦で勝ち点を落とし、昨春以来のV奪還へ、あとがない状況だ[写真=矢野寿明]


【4月29日】東京六大学リーグ戦(神宮)
早大5-0明大
(延長11回、早大2勝1敗)

 主将として迎えた、学生ラストシーズンの2024年春。試合に出られない苦しさと、出場している中での苦しさ。明大・宗山塁(4年・広陵高)は2つの苦悩と向き合ってきた。

 2024年の対外試合初戦となった2月29日のオープン戦(対明治安田生命)で、右肩付近に死球を受けた。井端弘和監督が指揮する侍ジャパントップチームに招集され、欧州代表との強化試合(3月6、7日)へ向け、コンディションを上げている最中のアクシデント。侍ジャパンに合流し、5日の公式練習に参加も、その後の診断で右肩甲骨骨折が判明した。強化試合を欠場。帰京後に再度、診察を受けると、同じ診断で「全治3カ月」となった。

 オープン戦に出場できない中でも、主将としてベンチ入りしてチームを鼓舞。自身は治療に専念した。驚異的な回復力で、東大1回戦(4月20日)の開幕カードに間に合わせた。1回戦で2安打2打点、2回戦で1安打1打点。宗山は外野の間を抜く二塁打も持ち味だが、長打はなし。やはり、調整不足の影響なのか、本調子ではないことは明らかだった。

 前半戦のヤマ場である第3週の早大戦。1回戦で1安打1打点も、2、3回戦はノーヒットに終わった。1勝1敗で迎えた3回戦は劣勢の展開。0対5で11回裏二死三塁から第5打席を迎えたが、二ゴロに倒れた。東大との開幕カードは連勝で勝ち点1を奪取も、早大戦は1勝2敗で、勝ち点を落としている。

 東大、早大との2カードを終え5試合で打率.174。通算打率.334の宗山からすれば、考えられない数字である。リーグ史上34人目の100安打まであと3本で迎えた早大戦は、3試合で12打数1安打。1年春途中から遊撃のレギュラーに定着して以降、2試合連続無安打(早大2、3回戦)は初の屈辱だった。

 早大3回戦後、明大・田中武宏監督は言った。

「本人は今日も(試合前に明大グラウンドで)打撃練習をしてきまして、細かいところまで、チェックしてきました。今までうまく行き過ぎた。彼も普通の大学生ですから。もがいている状況です」

 明大は第4週が、空き週となっている。第5週から立大、慶大、法大と残り3カードが休みなく続く。宗山はケガ明けで、2週続いた東大、早大との5試合の疲労は、相当だったはず。「対応力」こそが、宗山の真骨頂。約2週間で体調を整え、万全のコンディションで5月11日、神宮に戻ってくるに違いない。

文=岡本朋祐
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング