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阪神のライバルは上昇気流のヤクルト? 「もっとも爆発力がある」高評価が

 

スローガンに込めた思い


上昇気流に乗る高津監督率いるヤクルト


 ヤクルトが上昇気流に乗ってきた。

 敵地・東京ドームで巨人に同一カード3連勝を飾ると、5月3日の中日戦(神宮)は3点のリードを追いつかれたが、劇的な展開が待ち受けていた。延長11回無死一塁で塩見泰隆勝野昌慶の152キロ直球をバックスクリーンに運ぶサヨナラ弾。「打った瞬間ホームランかなと思ったんですけど、映像を見返したら意外と飛んでいなかったので、もうちょっとトレーニングして飛ばせるように頑張りたいと思います」とお立ち台のトークでもファンをわかせた。

 2021、22年とリーグ連覇を飾ったが、昨年は投打がかみ合わずに5位に低迷した。今季のチームスローガンは『ヤり返せ!』。高津臣吾監督は週刊ベースボールのインタビューで、スローガンに込められた思いを語っている。

「負けを生かさないともったいないという思いから、今年のチームスローガンは『ヤり返せ!』にしました。悔しい思いをして人は成長する、負けてチームは強くなると思っています。せっかく負けたので、せっかく悔しい思いをしたので、今度は勝利に、喜びにしていくために何が足りなかったか、どうすればそちらに傾くかを勉強していかないといけません。負ける材料、勝てなかった材料はたくさんあります。それを一つずつ洗い出して、また勉強をし直して、『昨年負けたことはすごくいい1年だったね』と思えるシーズンにしたいです」

「スローガンのように強い気持ちで今年に臨む選手はたくさんいると思います。選手たちが悔しい思いをした、歯がゆい思いをしたのは僕自身も理解しているつもりです。また、僕がどれだけ悔しがっているかを理解している選手もたくさんいるのではないでしょうか。その悔しさをぶつけていきたいです」

投手陣が踏ん張って借金完済目前


 開幕直後に守護神・田口麗斗が万全の状態に程遠いため登録抹消。セットアッパーの清水昇も10試合登板で防御率9.00と痛打を浴びる登板が目立ったため、4月26日にファーム降格が決まった。「勝利の方程式」の2枚が不在という苦しい状況で、左のエース・高橋奎二も4試合登板で防御率4.15と結果を残せず戦列を離れた。

 一時は借金5までふくらんだが、ここで投手陣が踏ん張る。新外国人右腕のミゲル・ヤフーレが5試合登板で4勝1敗、防御率3.21と先発陣の柱に。2年目の吉村貢司郎も球威十分の直球を武器に5試合登板で2勝2敗、防御率2.18と安定した投球を続けている。サイスニード小澤怜史に加え、右肘の違和感で出遅れていた小川泰弘が復帰。救援陣も木澤尚文大西広樹星知弥石山泰稚山本大貴がきっちり役割を果たしている。

指揮官が目指す野球の方向性


 投手陣が踏ん張れば、破壊力抜群の打線で白星を積み重ねられる。不動の四番・村上宗隆はリーグトップタイの7本塁打をマークし、共に来日4年目を迎えたホセ・オスナドミンゴ・サンタナも好調だ。3人で結成するクリーンアップは間違いなくセ界最強だろう。開幕直後にコンディション不良で戦線離脱した山田哲人が六番に復帰し、打線に厚みが増した。塩見、新加入の西川遥輝、ベテランの青木宣親、打撃好調の丸山和郁とチャンスメーカーがそろっており、長岡秀樹も打率.271と下位打線の核になっている。

「守り勝つ野球を標榜しているチームが多い中、ヤクルトは異彩を放っています。もちろん、守備を大事にしていますが、点取り合戦で打ち勝つ強さを持っている。阪神が首位を快走していますが、追いかける5球団で一番不気味なのはヤクルトだと思います」(スポーツ紙記者)
 
 高津監督はヤクルトが目指す野球の方向性について、こう語っている。

「選手に求めることは、別に着飾らなくていい、カッコつけなくてもいいということ。代わりに、ヤクルトらしさ、スワローズらしさは前面に出してほしいです。その『らしさ』とは、1番は『のびのび野球』です。もちろん、作戦やサインはたくさんあります。ありますが、いざグラウンドに出たときにプレーするのは彼ら選手です。ですので、そこで縛りつけることはしたくない。思い切ってプレーしてほしいなと。野村監督がそうでしたから。選手はたくさん勉強をして、知恵を頭の中に詰め込みますが、いざ試合となればのびのびとプレーする。それがスワローズのスタイルだと思っています」

 4連勝で借金1に戻した。この勢いで阪神を追いかける。

写真=BBM
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