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【高校野球】春頂点に届かなかった東海大相模 課題として「紙一重」を深堀りした指揮官

 

「野球は1球ですからね」


2021年秋から母校・東海大相模高を指揮する原監督は夏への課題を口にした[写真=田中慎一郎]


【5月4日】
春季神奈川県大会決勝(横浜スタジアム)
武相高9−8東海大相模高

 3年ぶりの春制覇まで、あと一歩だった。

 武相高との決勝。1点を追う9回裏、二死走者なしからヒット2本が続き、申告敬遠で満塁と見せ場を作る。東海大相模高の三塁側応援席は応援委員会による応援団とチアリーダーを中心に一体感のある大声援。1万人を動員した横浜スタジアムの観衆は固唾をのんで見守ったが、次打者が凡退した。この試合は終始劣勢で、一度もリードできなかった。

 なぜ、東海大相模高は頂点に届かなったのか。2021年秋から母校を指揮する原俊介監督(元巨人)は、一つのキーワードからチームとしての課題を分析した。

「(9回裏二死満塁の場面で)あそこでワンヒット出ていれば、結果は違っていますし、勝負は紙一重なので……。紙一重の上に行くことをテーマにやっていますから。気持ちが切れるシーンをゲーム中は起こしてはいけないので、そういうことを夏に向けて、きっちりやっていきたいです」

 紙一重の決勝で、実際に気持ちが切れた場面あったのか。原監督の表情は、厳しさを増す。

「1点差ですから、9失点のうち、どこかの1点は防げたはず。そこを考えていかないと。最終的に自分たちが1点、上を目指す野球をしないと。1点多く取られたら終わりなので」

 さらに「紙一重」を、深掘りする。

「野球は1球ですからね。1球なんですよ。あと1球を、打ち返す。あと1球を、守る。足が震えるようなシーンで、いかにプレーできるかまた、練習していきたいと思います。最後の難しいところを、この子たちは感じてくれたと思います。乗り越える力を夏までに、僕も一緒になって高めたいです」

多くの成果も披露した春


五番・長尾は準々決勝と決勝で本塁打。パンチ力のあるスイングで長打に警戒である [写真=田中慎一郎]


 選手たちも十分、理解している。桐光学園高との準々決勝に続き本塁打を放った「五番・左翼」の長尾幸誠(3年)は「最後、勝ち切れなかったので、もっと粘り強さ、勝負強さを出せるようにやっていきたい」と語った。

「二番・捕手」で主将の木村海達(3年)は決勝を振り返った上で、夏への意気込みを語った。

「武相さんは粘り強い。流れを止めたい場面でも、流れを持っていかれて、やりづらいゲームでした。残り少ない高校野球人生で悔いなく、3年生中心に夏までに勝ち切れるチームを作っていきたい」と前を向いた。

 昨秋の県大会準決勝で横浜高に敗退して以降「泥臭くやっていこう」と、攻守にわたり「つながり」をテーマに全員で取り組んできた。桐蔭学園高との4回戦では左腕エース・藤田琉生(3年)が完封(1対0)、準々決勝では昨秋の優勝校・桐光学園に競り勝ち(8対5)、準決勝では藤田が1失点完投(5対1)で横浜高にリベンジした。多くの成果も披露した春だけに、悲観しなくていい。

 東海大相模高は5月18日からの関東大会に神奈川2位校として出場する。「この春のセンバツでは、関東勢が上位へ進出している(健大高崎高が優勝、中央学院高が4強、山梨学院高が8強)。高いレベルの相手に勝ち切れるチームを作っていきたい」(木村主将)。原監督の追い求める「紙一重」の勝負を制するため、細部まで詰めた練習を消化していく。

文=岡本朋祐
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