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打球の速さは一軍トップクラス 巨人の19歳に「ブランコ2世」の呼び声が

 

誰もが認める潜在能力


ファームで腕を磨いている“19歳のスラッガー”ティマ


 V奪回を狙う巨人は将来が楽しみなタレントが多い。攻守の要の門脇誠、ドラフト3位の佐々木俊輔、2年目の萩尾匡也、ファームには浅野翔吾秋広優人が控えている。その中で「打球の速さは一軍でトップクラス」と高い評価を受ける19歳がいる。フリアン・ティマだ。

 2019年11月と20年3月にドミニカ共和国で実施されたトライアウトで合格し、21年2月に育成契約を結ぶことが決まった。当時はまだ16歳。身長193センチの長身だったが、線が細かった。三軍で実戦に出続けて力をつけると、トレーニングで肉体も筋肉で分厚くなり、今年は支配下昇格に向けてアピールしている。2月の二、三軍の紅白戦で本塁打を含む2安打をマーク。「七番・指名打者」でスタメン出場した4月4日のイースタン・ロッテ戦(ロッテ浦和)では、2回一死一塁で強烈な左前打を放つと、2点差を追いかける4回二死一塁で、相手先発・田中晴也の高めに入った直球を振り抜き、右中間を深々と破る適時二塁打。

 他球団のスコアラーは「逆方向にあれだけ飛ばせる選手はなかなかいない。パワー、スイングの軌道、打席でのシルエットを含めて中日で活躍したトニ・ブランコに似ています。打球の速さは一軍トップクラス。まだ19歳という年齢を考えると将来が末恐ろしい」と評する。

 収穫だけでなく、課題も浮き彫りに。低めに落ちるボール球に手が出て快音が聞かれなくなり、一時は打率1割6分台まで落ちたが、壁にぶつかることは成長への糧だ。選球眼に磨きをかけ、ボール球に手を出す悪打席が減ってきている。現在27試合出場で打率.204、2本塁打、9打点。潜在能力の高さは誰もが認めるだけに、ファームで突き抜けた成績を残したい。

圧倒的な破壊力を誇ったブランコ


 ティマと打撃像が重なるブランコは日本球界で成功した助っ人の一人だ。タイロン・ウッズの後釜として中日に入団した09年に打率.275、39本塁打、110打点で本塁打、打点の2冠に。長距離砲として活躍すると、DeNAに移籍した13年に打率.333、41本塁打、136打点で首位打者と打点王を獲得。この年は当時ヤクルトウラディミール・バレンティンがNPB記録の60本塁打を樹立している、打率.330と131打点で三冠王に輝いても不思議ではない成績だったが、あと一歩及ばなかった。

中日、DeNA、オリックスで長距離砲として活躍したブランコ


 ブランコはDeNA 在籍時に週刊ベースボールのインタビューで、打撃論を語っている。

「どちら(パワーとテクニック)も必要だけど、しいて言うならばテクニックの方がより重要となるだろう。本塁打を打つには、このボールに対応するにはどうしたらいいのかとか、バットの芯に当てるためにはどうしたらいいのか、というような技術が必要だから」

「一番大事なポイントは集中することだね。ボールをちゃんと見て、キャッチャーはいまどんな位置にいるのかといったことを意識して、あとは自分が打席に入ったらどういうふうに投げてくるかというイメージを描くことで、良いパフォーマンスができるのだと思う」

 並外れたパワーで豪快なイメージが強かったが、チームメートだったアレックス・ラミレスの助言に耳を傾けるなど真面目な性格で緻密な一面を持ち合わせていた。最後はオリックスに所属し、NPBで8年間プレー。通算打率.272、181本塁打、542打点をマークした。

 ブランコが来日した時が29歳だったことを考えると、ティマはまだまだ若い。巨人は若返りが急務の課題となっている。数年後は萩尾、秋広、浅野と共に打線の中軸を打つ未来は実現するか。ジャパニーズドリームをつかむため、支配下登録を目指す。

写真=BBM
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