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【大学野球】立大の空気を変えた1年生・小林隼翔「投手の嫌がるような打撃をしたい」

 

もはや欠かせない戦力


慶大2回戦から「一番・遊撃」に入った1年生・小林隼。ファーストストライクを積極的に振っていく姿勢が、好結果となっている[写真=矢野寿明]


【5月6日】東京六大学リーグ戦(神宮)
立大7-5慶大(1勝1敗1分)

 打線のテコ入れに着手した。立大は慶大1回戦を落とし、7試合で8得点と攻撃陣が低調だった。立大・木村泰雄監督は起爆剤として同2回戦から「一番・遊撃」に1年生・小林隼翔(広陵高)を起用した。初先発だった。

 早大との開幕カードから背番号33でベンチ入り。過去5試合はすべて代打出場で3打数2安打(1犠打、1四球)と、良い仕事をした。「何かやってくれる」と木村監督の期待に応え続けてきた。慶大2回戦で小林隼が初スタメンに入り、明らかに空気が変わった。

 1回表、小林隼は死球で出塁すると、打線がつながり、2点を先制した。2打席目には右前打。この日は計3四死球で、5打席のうち4打席で出塁。遊撃守備も安定しており、十分な役割を見せた。3回戦も勢いがあった。

 1回裏、初球をたたいて左前打で出塁し、先制のホームを踏んだ。7回裏も先頭で左前打。小林隼が突破口となり、貴重な2点を追加(7対1)。立大は8回表に追い上げられ、最後は2点差で逃げ切る形となり、結果的に7回裏の追加点が大きかった。立大は対慶大戦の連敗を20で止めた(5引き分けを挟む)。小林隼の一番起用が、勝因の一つ。2試合で7打数3安打と存在感を示し、通算でも10打数5安打と立派な数字を残している。1勝1敗1分。今季初の勝ち点をかけた4回戦に向けて、もはや、欠かせない戦力だ。

「(先輩方が)やりやすい環境でプレーさせてもらい、思い切ってできる。どうしたら、チームの勝利に貢献できるかを考えています。意識するのは、とにかく塁に出ること。率を残したいと思っているので、しっかりコンタクトして、投手の嫌がるような打撃をしたい」

 広陵高では2年春、3年春、夏の甲子園出場。3年時は主将を務め、侍ジャパンU-18代表でもキャプテンの座を担い、U-18W杯(台湾)における初優勝に貢献した。自身はケガで大会中盤から出場できなかったが、ベンチワークでリーダーシップを発揮。「チーム小林」が結束した、悲願の世界一だった。

 昨夏の甲子園では、慶應義塾高(神奈川)との3回戦で敗退。慶大に進学した昨夏の全国制覇メンバーが、神宮で躍動している。渡辺憩捕手、福井直睦内野手、丸田湊斗外野手と知った顔がプレーしていると、気になることも(丸田は立大2回戦からベンチ外)。「意識しないようにはしていますが、負けないようにしたい」。小林隼には、勝負魂がある。

宗山塁と練習した経験


 広陵高出身の遊撃手と言えば、3学年先輩に明大の主将・宗山塁(4年)がいる。「2024年のドラフト超目玉」と言われる逸材だ。高校2年の12月末、帰省してきた宗山と一緒に、広陵高グラウンドで練習した経験がある。

「(今春の開幕以降は)開会式や、試合の入れ替わりの際にあいさつをさせていただいています。自分のことを心配してくれて『試合に出られるのか?』と。『代打ならば、ありそうです』と答えさせていただきました。学年がかぶっていないので、そこまでの接点はありませんが、雲の上の存在。まだ、届かないですが、自分もそのレベルに行かないといけない。目標としています」

 立大の練習に合流してから約2週間後の2月末。生活拠点である智徳寮の応接室で取材をすると「寮生活で気づいたことは、自分から率先して動いていきたい」と、新入生とは思えない発言があった。広陵高で学んだ野球以前の「男としての生き方」。その根底には寮生活があることを3年間、勉強してきた。部員によれば、すでに、小林隼は常日頃からの言動にも、多大な影響力を持つという。神宮の空気を変えた1年生。4年間で、立大野球部の空気も変えていきそうな期待感がある。

文=岡本朋祐
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