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【大学野球】西武投手を兄に持つ慶大・宮澤豪太 苦労人が神宮デビューで強烈なインパクト

 

途中出場から2安打


慶大の3年生・宮澤は初めて登録された立大3回戦で、代打の初打席で初安打[左二塁打]。次の打席でも左前打と、強烈な印象を残した[写真=矢野寿明]


【5月6日】東京六大学リーグ戦(神宮)
立大7-5慶大(1勝1敗1分)

 メンバー変更は試合当日の朝だった。

 立大3回戦。慶大・宮澤豪太(3年・県長野高)が初めて登録選手25人に名を連ねた。

 6点を追う8回表無死一塁で、慶大・堀井哲也監督から代打に起用された。1ストライクからの2球目をフルスイングすると、痛烈な左二塁打。宮澤は二塁ベース上でガッツポーズを見せた。前日の2回戦。代打起用6回のうち、4人が安打という恐るべき成功率。この日も堀井監督のさい配が的中し、宮澤の初打席初安打がチームに活気をもたらせ、4点をかえすビッグイニングとなった。

 宮澤はそのまま左翼に入り、9回表の打席では二死走者なしから、変化球に食らいついての左前打。試合を終わらせない執念を見せた(試合は5対7で敗戦)。3年春で神宮デビューという苦労人が途中出場から2安打を放つ集中力で、強烈なインパクトを残した。

 小学生時代からあこがれていたという神宮の舞台。長野高から1年の浪人を経て、慶大に入学した。3歳上の兄・太成さん(宮澤太成)は長野高、北海道大、四国IL・徳島を経て、昨年10月のドラフトで西武5位指名を受けた右腕だ。宮澤は兄に負けない練習の虫。部員が200人いる慶大でのメンバー入りは、努力の賜物だ。

 春先からアピールを続けた。今年2月26日、薩摩おいどんカップの青学大戦では、中西聖輝(3年・智弁和歌山高)から本塁打。故障で出場できなかった主将・本間颯太朗(4年・慶應義塾高)で空いた三塁を任された。

 その後の関西遠征、東海遠征、活動拠点の日吉に戻って以降もチーム内競争は激しさを増し、宮澤は開幕のメンバー25人から漏れた。下田グラウンドでもう一度、見つめ直し、練習を重ねた。3年生の代では飛ばす力に加えて、打率を残せるのが宮澤の持ち味。ベンチ入りのボーダーラインにおり、目の前のメニューと向き合ってきた。3カード目の立大3回戦で、初めて名前が呼ばれた。

 そして、訪れたチャンスをつかんだのだった。立大3回戦ではベンチ入り25人中、慶應義塾高出身者が13人を占める。また、超難関のAO入試を突破した実力者もいる中で、宮澤のような公立高校出身の選手が神宮で活躍するのは、大きな意義がある。説明するまでもなく慶大、神宮でのプレーを目指す受験生に、勇気を与える存在となっているのだ。

文=岡本朋祐
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