キャンプ前に発した言葉
快挙を遂げて笑顔を浮かべる前田
6月7日の
ロッテ戦(マツダ
広島)で広島・
大瀬良大地が史上90人目、102度目のノーヒットノーランを達成した。球団では2012年4月6日の
DeNA戦(横浜)で
前田健太(現タイガース)が達成して以来、5人目の快挙だが、その前田の「ノーノー」を振り返ってみよう。
「今年は絶対(ノーヒットノーランを)やりますから!」
2012年のシーズン前、キャンプで発した前田の言葉に偽りはなかった。
前田には、前年の10月22日、リーグ最終戦の
ヤクルト戦(神宮)での苦い経験があった。9回一死までノーヒットに抑えるも、
藤本敦士に左翼線二塁打を打たれ、最後は逆転負け。このときの“悪夢”が忘れられなかった。
4月6日の一戦はそのときのリベンジのチャンスが訪れていた。「序盤から調子が良くて、ボールも低めに集められた」と、最速150キロのストレート、キレのあるスライダーを軸にDeNA打線を封じ込める。6回二死までパーフェクト。「際どいボールだったのでしようがない」と代打・
内藤雄太に初の四球を与えるも、快投は続いた。
そして迎えた9回。「9回までは(ノーヒットを)意識していなかった。最後は無心でした」と言うが、二死から
石川雄洋に四球を与え、「一瞬、昨年のヤクルト戦が頭をよぎった」ことも確か。ここは切り替えて、最後の打者・
梶谷隆幸を投ゴロに仕留めてゲームセット。セ・リーグでは6年ぶりとなるノーヒットノーラン達成となった。
広島では1999年の
佐々岡真司以来4人目の偉大な記録。背番号「18」の後継者は、歴史を紡いだ。
「これで少しは忘れられますかね」と前年の“悪夢”を振り払ったマエケンは、一つの大きな壁を乗り越えて、たくましさを増した。
写真=BBM